2020 Fiscal Year Research-status Report
継承中国語学習者のアイデンティティと言語能力の縦断的研究:大学外国語教育への提言
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19K13277
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 典子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (30822746)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 継承語教育 / 中国語学習者 / アイデンティティ / ライフストーリー / 大学外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中国にルーツを持つ継承中国語学習者のアイデンティティと言語能力が、大学入学後にどのように変化していくのか、縦断的調査を行っている。 2019年度に引き続き、2020年度も前年度と同じ調査協力者に、ライフストーリー・インタビューと言語能力調査を前期と後期それぞれ2回ずつ実施した。 言語能力調査に関しては、調査協力者のうち数名の言語能力が非常に高く、2019年度に使用した言語テストだけでは測り切れない側面もあったため、通常の言語テストと「CEFR自己評価表」による調査に加えて、超上級者向けの言語テストも使用して調査を実施した。2種類の言語テストを実施したことによって、継承中国語学習者のより高い言語能力を測ることが可能になり、またスピーキング能力とライティング能力に関するデータも収集することができた。 さらに継承語学習者と一般の外国語学習者の言語能力を比較するために、調査協力者と同じクラスに在籍する学生にも、言語テストと「CEFR自己評価表」による調査を実施してデータを収集している。 上記の言語能力調査で収集したデータの分析も並行して進めており、継承中国語学習者の言語能力にどのような特性があるのか、何ができて何ができないのかについては徐々に明らかになりつつある。また、継承語学習者と一般の外国語学習者の言語能力の違いについても、解析が進んでいる。これら継承中国語学習者の言語能力の特性については、2020年度に学会にて研究成果の発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナの影響により調査協力者と直接会うことができず、zoomを使用してインタビューおよび言語能力調査を実施した。 調査用紙や言語テストは郵送でやり取りしたため、予想以上に作業に時間を要したが、データは概ね順調に収集することができている。 しかしコロナの影響で時間的な制約が多かったこともあり、インタビューデータの文字化作業は全て完了しているものの、分析作業は若干滞りがちである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は縦断調査を実施しており、次年度以降も引き続き同じ調査協力者への追跡調査を実施する予定である。 2021年度は調査と並行して、すでに収集したデータの分析作業を行っていきたい。特にインタビューデータの分析作業が滞っているため、今後はデータ解析を重点的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナの影響で出張に行くことができず、当初の研究計画とは随分ずれが生じてしまった。 現在、研究成果報告書の作成を検討しており、翌年度以降の助成金と合わせて使用したいと考えている。
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