2023 Fiscal Year Research-status Report
マグリブのアラブ化に伴う社会統合の再検討:初期イスラーム史構築に向けた比較分析
Project/Area Number |
19K13364
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野口 舞子 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (00834623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ベルベル / ウラマー / イブン・ハルドゥーン / バラウィー / 旅行記 / リフラ / アンダルス / マグリブ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も当初予定していた研究計画のうち、海外(特にマグリブ地域)における文献調査や現地調査は実施できていない。このため、研究内容にやや遅れが生じている。 他方で、国際会議や研究会での研究報告は精力的に行うことができた。まず、14世紀にアンダルスで活躍したウラマー、バラウィーが著した旅行記(『マシュリクのウラマーを飾る王冠』)を用い、エジプト・アレクサンドリアにおける学問修得から、マグリブ・アンダルス出身者の旅先におけるウラマー・ネットワークの構築過程を明らかにし、報告を行った。これにも関連するが、数年来取り組んできたイブン・ジュバイルの旅行記と彼のフランク(東方のキリスト教徒)に対するまなざしを分析した論文が刊行された。イブン・ジュバイルやバラウィーといったマグリブ・アンダルス出身者による旅行記/メッカ巡礼記では、マグリブ・アンダルスの訪問先の記述だけでなく異郷の訪問先の記述においても、作者の地域認識みることが可能である。今後は他の旅行記からデータを収集し、マグリブ・アンダルス出身者の地域認識の傾向や変化を明らかにしたい。また、旅行者が出身地のマグリブ・アンダルス(あるいは、旅先のマシュリクにおける)知の 伝統の継受やイスラーム化にいかなる役割を果たしたかを検討し、多角的な議論を行いたい。 また、本年度もオンラインにて、イブン・ハルドゥーン(1406年没)の史書『省察すべき実例の書』の講読会を行い、マグリブ・アンダルス地域の歴史や民族に関するの記述を分析し、当該地域のイスラーム化に関する理解を深めた。この活動は次年度も継続したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料調査や現地研究者との面会といった現地調査が航空券代の高騰や円安などもあり実施できなかったため。特にアルジェリアについて現地調査の方法を模索したがかなわなかった。それ以外については、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はアルジェリアにおいて現地調査を行うことを予定している。実施が難しい場合はモロッコに訪問先を変更する。 この他については、史資料の分析および収集、研究報告や論文の執筆を継続する。
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Causes of Carryover |
2023年度に予定していた海外調査が行えなかったため、次年度使用額が生じた。2024年度使用額は海外調査や文献等の入手に充てる予定である。
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[Journal Article] Ibn Jubayr and His Rihla2024
Author(s)
Noguchi Maiko
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Journal Title
Alexander Mallett ed. Arabic Textual Sources for the Crusades (The Muslim World in the Age of the Crusades 5)
Volume: -
Pages: 180~203
DOI
Peer Reviewed
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