2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13370
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小宮 秀陵 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (30802011)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国史 / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年は、前年までの東アジアに関する個別の検討をもとに、東アジアというナラティブが韓国古代史のなかに受容・形成されていく過程と、その当時の問題意識について分析・整理を行った。本年度はこれまでの資料をもとにした分析だけでなく、実際に、韓国に赴いて成均館大学、中央大学、国立中央博物館等で調査を行い、国史と東洋史との関係性に関する資料収集も行った。 まず、韓国における東亜・亜細亜と東洋との関係、東洋の他者化、韓国中心性の可否について整理した。まず、東亜や亜細亜といった用語が登場していく状況と、朝貢という概念を軸にした歴史的世界が中国中心史観であることに対する批判的視座が生まれていく背景を整理した。次に、韓国の東洋史での理解が、新羅史研究に与えていく影響を分析・整理した。 続いて、冷戦の崩壊以後、韓国古代史においても広域世界の妥当性について、検討されるようになった状況とその背景、そして現況を整理した。まず、冷戦以後韓国史の研究者側から海域史などの広域世界が提示された状況について整理した。次に、2000年代韓国古代史のなかで、東アジアという用語を使い、一つの歴史的世界に対する批判的検討が行われていく状況と背景について分析した。そこでは、東アジア世界論に対する批判的検討のもとで1980年代に韓国で創出された朝貢・冊封の概念との関係性についても検討した。現在の韓国古代史でも東部ユーラシアなどの広域世界に関する関心が集まっている状況についても整理し、広域世界の設定に対する韓国的特色について検討した。 最終的に、韓国現地での資料の収集や資料の分析をもとに国際査読誌に投稿した。
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