2022 Fiscal Year Annual Research Report
近世フランスにおける「ナント王令体制」再考:建築・科学・軍事における宗教論的転回
Project/Area Number |
19K13390
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
坂野 正則 上智大学, 文学部, 教授 (90613406)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近世ヨーロッパ / フランス / ナント王令 / 宗教論的転回 / 宗教と空間 / 宗教モニュメント / 都市と宗教 / 建築と宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる2022年度は、コロナ渦による現地調査の未完了部分を完結させると同時に、今後の研究継続・発展のための基盤作りを実施した。具体的には、フランス現地での調査を実施し、ロワール地方のソミュールにて、カトリシズムとプロテスタンティズムの境域で活動していたオラトリオ会の古文書調査と建造物および所有地の巡検を行った。この調査を通じて、都市における「ナント王令体制」の実態の一部を把握することができた。たとえば、人物誌研究を通じて、改宗家系とオラトリオ会による土地所有が連関している事実を突き止めることができた。パリにおいては、2019年度以降一貫して継続調査を実施している、ノートル=ダム大聖堂の補足調査を実施した。大聖堂内部の調査を行うべく、できうる可能性を模索したが、それは様々な諸条件から実現できなかった。ただし、敷地外部からの継続的調査と、大聖堂周辺に広がる「ノートル=ダム」禁域の遺構と街区調査、さらに、大聖堂修復事業に関するフランスの最新の研究成果を収集することができた。したがって、本年度において、これまで進められなかった海外調査を飛躍的に進めることができ、未完了分の現地調査は一定程度完了できたと考えている。 本年度は、同時にこれまでの研究成果の公表と新たな共同研究の基盤整備にも努めた。具体的には、都市史学会ワーキング・グループ「都市における文化=空間構造から捉える全体史」と連携を保ちながら、「宗教モニュメント研究会」を発足させ、研究会やワークショップ、さらに年度末のシンポジウムを開催し、研究代表者自身の研究成果の公表を行った。特に、2023年3月に実施したシンポジウムは、2019年10月のシンポジウムと対称をなす主題を取り上げ、本科研の最終年度を総括するにふさわしい内容となった。
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