2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13488
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
川島 翔 広島修道大学, 法学部, 助教 (30822796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中世学識法 / 教会裁判所 / 紛争解決 / 訴訟法 / ローマ法 / カノン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世盛期から後期にかけての学識訴訟における私人間の紛争解決のあり方を総合的に解明することを目的とするものである。主に以下の3点につき、研究を進めた。 第一に、フランクフルト証書集を中心に、証書集に含まれる13世紀の教会裁判所における紛争解決事例を分析した。訴訟事件の内容、当事者の属性、係争物、事件終結の類型等に着目して全体的な傾向を明らかにすると同時に、訴訟法に照らして当事者の行動要因を検討した。この成果の一部をまとめて論考を公表した(「13世紀教会裁判所における紛争解決」松本尚子編『法を使う/紛争文化(法文化叢書17)』(国際書院、2019年)収録)。 第二に、教会裁判所における裁判権の担い手である司教代理判事(officialis)について検討を行った。司教代理判事の権限について、中世の法学者の間で、同人が通常裁判官であるのか特任裁判官であるのかを巡って議論があり、かつローマ法上のmandatumとdelegatioの解釈を巡って見解が対立していたことを確認し、学説史を整理した。この成果については、法制史学会近畿部会第458回例会において報告を行った。 第三に、シュパイヤーの教会裁判所で訴訟の手引きとして利用されたとされる訴訟法書Ordo iudiciarius antequam(1260年頃)の分析を行った。研究の前提として、同書の成立事情に関する研究史の整理を行った。その上で、同書に含まれる訴訟法規定の内容分析に着手した。なお、全文の翻訳はほぼ終了しており、次年度に公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
証書集および訴訟法書の両者について、おおむね当初の計画通り内容分析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの感染拡大を受け、参加予定であった2つの国際学会がともに延期となり、さらにドイツでの史料収集も実施が困難であることが予想されるため、少なくとも次年度に関しては史料分析を中心とした研究にシフトする。実施予定であった史料収集については、次々年度に延期することで対応する。
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Research Products
(2 results)