2021 Fiscal Year Research-status Report
憲法上の信頼保護原則の内容・機能・限界に関する研究
Project/Area Number |
19K13504
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
平良 小百合 京都女子大学, 法学部, 准教授 (00631508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法 / 信頼保護 / 比例原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、法制度の変更がなされる場合、従前の法制度への信頼はいかなる場合にどの程度保護されるのかという問いに憲法の観点から取り組み、信頼保護原則に関する検討を行うものである。特に、ドイツにおいて議論が盛んに行われている憲法上の信頼保護原則の保障内容と機能、限界を検討する。 今年度は、立法段階における考慮事項として、憲法上の信頼保護原則がどのように顧慮されるのかについて検討を行った。主に、気候変動や世界情勢等の影響を強く受け、大きな政策の変更がしばしば見られるエネルギー政策の領域を分析対象として設定した。政策の変更に際しては、経過措置、激変緩和措置がとられるが、それらを定めた法律の規定を憲法の観点からどのように評価できるか、政策の継続に対する事業者の期待をどの程度保護すべきか、さらに、比例原則を用いた違憲審査の枠組みの中でそうした考慮事項がどのように判断されるかが問題となる。脱原発、脱炭素、再生可能エネルギー等をめぐる近年の法改正の流れを整理し、また、かかる法改正をめぐって提起された訴訟についてのドイツ連邦憲法裁判所の諸判決を整理し、読解、分析を行った。日本及びドイツの再生可能エネルギー法改正に関する書籍や雑誌及び、信頼保護原則及びその基礎付けとなる法治国家原理、基本権保障に関する書籍や雑誌を蒐集し、分析、検討を進めている。本研究は、信頼保護原則の顧慮を、民主的正統性を有する立法者による適切な制度変更がいかにして行われるべきかという広い問題関心の中に位置付けるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を中断しており、今年度、研究を再開したが、復帰時期の関係で、今年度は実質的な研究期間が半年程度にとどまり、また、中断中の研究の遅れもあり、進捗状況としては遅れていると評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究最終年度となるため、とりまとめに向けた研究を行う。既に2019(令和元)年度に遂行した、租税法分野におけるドイツ連邦憲法裁判所判例及び学説の検討によって得られた、違憲審査の際に比例原則と共に用いられる信頼保護原則の位置付けや具体的な衡量審査の在り様についての分析結果をまとめる。また、研究再開後に遂行する、再生可能エネルギー法分野における立法段階での考慮事項としての信頼保護原則の検討を通じて析出された理論的な検討課題について、検討し、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
上記のような事情により、実質的な研究期間が半年程度であったため。
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