2023 Fiscal Year Research-status Report
近代日本のイスラーム政策における戦前・戦後期の連続性/非連続性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19K13638
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 大輔 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (40731435)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 回教政策 / イスラーム政策 / 国際モスレム協会 / 佐久間貞次郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のイスラーム政策が戦前・戦後どのように変容したのか分析するものである。戦後期については、1952~60年に存在した国際モスレム協会が、イスラーム主義宣伝と反共宣伝を目的としたイスラーム工作(政府との関係が立証できていないので「工作」)の担い手となり、英語雑誌Green Flagを世界中に配布していた。本研究は、この冷戦下に行われた日本のイスラーム工作に関して、①戦前戦後の連続性、②日本政府、米国政府との関係などを検証し、日本が冷戦下にイスラーム工作(政策)を継続した意味を問うものである。 2023年度は、同時に受給されていた特別研究員奨励費「日中戦争期の日中ジャーナリズムの中国通と日本通:日中相互認識と記者の『戦争協力』」の研究課題に専念していたため、研究成果は出したものの、本研究課題に関しては、研究費の支出を一切せず、2024年度への順延を申請して、受理された。 2024年度の研究成果としては、「対華新政策と太田宇之助」『孫文研究』72号(2023年7月)、「日中戦争期における吉岡文六(東京日日新聞)の中国認識」『東洋学報』 106巻2号(2024年9月刊行予定)、「中国専門記者太田宇之助の戦後」中村元哉, 村田雄二郎編『戦後日本と中華圏の人物交流史―日中国交正常化まで』(東洋文庫、2024年9月刊行予定)という三点の研究成果を提出することができたほか、2024年度の日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究成果公開促進費(学術図書)に採択され、博士論文の刊行の筋目をつけることができた。ただし、これらは先述した特別研究員奨励費の成果でもある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度は、同時に受給されていた特別研究員奨励費「日中戦争期の日中ジャーナリズムの中国通と日本通:日中相互認識と記者の『戦争協力』」の研究課題に専念していたため。研究を中断していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
可能ならば米国での調査を実施したいが、彼の国での物価昂騰のため、難しくなっている。当面は海外調査が出来ないことを前提として、研究成果を公刊・公表することを目標としたい。当面は、Green Flagの誌面分析を進め、その記事の傾向や内容を分析したい。
|
Causes of Carryover |
同時に受給していた特別研究員奨励費の研究課題に専念していたため、本年度は研究費を一切使用しなかった。次年度は、書籍購入10万円、海外出張(台湾へ一週間)27万円を予定している。
|