2019 Fiscal Year Research-status Report
望ましい利益配分を目指して: 協力ゲームの解の公理的分析
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19K13651
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中田 里志 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (90822453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協力ゲーム / 配分ルール / シャープレー値 / コア / グループ形成 / 公理化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,主目的である協力ゲームにおける望ましい配分ルールの公理的な分析と,関連する問題である自発的なグループ形成における安定解の分析を行った. まず,一つ目の配分ルールに関しての公理分析であるが,シャープレー値に公平性の概念を取り込むように改良した配分ルールの一つである重付き平等主義型シャープレー値に対し,より自然な公理的基礎を与えることを目指しそのための分析を行った.この過程で,特に公平性に関しての公理をより自然な公理で代替できる可能性が見えた.現在までのところ,最終的な公理化には至っていないが,来年度以降は今年度に得た示唆をもとに新たな公理的基礎を与えた研究成果を論文としてまとめることを目指す. 二つ目の自発的グループ形成問題では,特に費用削減的な技術を有するパテントホルダーが存在するとき,クールノー競争を行っている企業がどのような提携を結び,結果としてどのような提携構造が安定状態として現れるかという問題を考察した.このようなパテントホルダーが存在する下での不完全競争の分析では,主にどのようなライセンス方式がパテントホルダーにとって望ましいか,特定の協力ゲームの配分ルールと整合的な配分はどのようなものかといった問題が主に考察されてきた.これらの既存の研究成果に対し,そもそもどのような提携構造が内生的に現れうるかという問いを立て,パテントホルダーの存在はグループ形成を促進し得るという示唆が得られた.本年度はこの結果を中心とした論文を執筆した.また,ここで得られた結果はより一般的な外部性が存在する状況でのグループ形成問題における安定解に対しても示唆的である.今後は,このような一般的な状況での分析も行っていこうと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように, 理論研究に関しての一定の成果が得られ, 論文にまとめることができた研究成果もあったため, 概ね順調に研究が進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,上記に記載した配分ルールの公理的基礎に関しての研究をより進展させ研究成果をまとめる.また,本年度に進展した研究成果を刊行することを目指す.
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Causes of Carryover |
計画していた論文投稿に際しての英文校閲を研究の進行に合わせて見送ったため.また,当初計画していた学会の参加が一部都合により行えなかったため.これらは来年度に繰り越して行う.
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