2021 Fiscal Year Research-status Report
望ましい利益配分を目指して: 協力ゲームの解の公理的分析
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19K13651
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中田 里志 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (90822453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協力ゲーム / シャープレー値 / ポテンシャル / コア / 提携形成ゲーム / 複数基準配分 / 平等主義型シャープレー値 / オーウェン値 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究成果として, 協力ゲームの解に関する論文2編(「Potentials and Solutions of Cooperative Games」,「Core Stability of the Shapley Value for Cooperative Games」), グループ形成に関する論文2編(「Stable Coalition Structures of Patent Licensing Games」, 「On the Unique Core Partition of Coalition Formation Games」)の合計4編の論文を執筆した. これらの論文は既に国際雑誌に投稿し, うち3本の論文は改訂要求に従い再投稿の準備を進めている.
上記の研究成果に加え, 現在協力ゲームの解に関しての新たな研究を行なっている. この研究では, 例えばワクチン配分のように国家間での配分と国内での配分という二つの配分を同時に考える際, 一般に二つの配分基準が異なるという点に着目している. 実際, Covid-19に対するワクチン配分の仕方は国家間では経済規模などに依存した競争的な配分がなされている一方,国内では(優先順位を設けた上で)平等な配分がなされている傾向にある. このように, 複数の小集団が互いに協力可能な状況下において, 集団間と集団内で様々な配分基準を同時に用いるような配分ルールに焦点を当て, 新たなルールの提案とその公理的な基礎付けを行なっている. 本研究の主要成果は協力ゲームにおける重要な解の一つである「平等主義型シャープレー値」を一般化し, その特徴付けを与えている点である.
最終年度である2022年度は以上の研究成果を公刊することを目標とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記載した通り, 本年度はこれまでの研究成果を複数の論文にまとめ, 国際雑誌への投稿を行うことができた. また, その後改訂要求を受ける段階に進むことが出来た. このように, 当初の計画に関する一定の研究成果を公刊するまでの段階として十分な進展が果たせたため, 計画の遂行は概ね順調であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究テーマの最終年度となるため, 研究成果の公刊を目指す.特に, 既に改訂要求を受けている論文に関して, 適切な改訂・再投稿を行い本年度中の公刊を目標とする. また, 国際学会などの発表機会がコロナ禍以前に戻りつつあるので, 積極的に活用する.
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Causes of Carryover |
本年度も予定していた国際学会を目的とした渡航が困難であったため, 旅費として使用予定であった予算が未消化となった. 2022年度は, 渡航が困難である場合には予定より多くの予算を英文校正等の利用や,研究環境の拡充を行う.
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Remarks |
研究成果として記載した論文は, 最新版を著者のホームページ上でワーキングペーパーとして公開している.
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