2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative macroeconomic study on the U.S. childcare market.
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19K13678
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保田 荘 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (00814352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育 / 米国 / マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
私の研究計画では主にファクトファインディングと数量的マクロ経済モデルによる分析の2つを計画していた。まず、ファクトファインディングとして私の仮説である、アメリカの保育価格上昇は保育ママが市場から退出したためであるという仮説の検証を統計的に行った。具体的には、まずIPUS census個票用いて、全米を約500地域に分割したPUMAというそれぞれの地域レベルのデータを作成した。結果として、1990年時点で保育ママが多い地域ほど、1990年代後半の政策変更の影響を多く受けて、その後の2015年にかけて保育価格が上昇するという、仮説に整合的な結果を確認できた。また、一般均衡的効果を通じてこの家庭的保育市場の変化が保育園にも波及し、保育園の価格も上昇することを確認できた。厳密な差の差推定とはなっていないものの、クロスセクションでのエビデンスは筆者の研究を大きくサポートされると考える。
もう一方の数量的マクロ経済モデルによる分析について、一橋大学の松田一茂氏に協力を依頼した。当初はJuliaという言語を利用する予定であったが、より高速な数値計算が求められたためFortranを利用することにした。こちらは私がすでに作っていた家計のライフサイクルモデルを一般均衡に拡張するところまでは進めており、今はモデルの調整を行っている。
本研究は青山学院大学、東北大学、明星大学、またドイツのゲーテ大学、オーストラリアのクイーンズランド大学にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファクトファインディングについては完了し、またクロスセクションデータを用いた追加的なエビデンスを得ることができた。また、数量的マクロ経済モデルを用いたシミュレーションも一般均衡モデルへの拡張について暫定的な結果を得ることができた。ボトルネックとなっていた数値計算スピードについてもFortran言語の利用と松田一茂氏の協力を得ることである程度解決することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では経済学、また教育学への学会参加を予定していたが、コロナウイルスの関係で全てキャンセルになってしまった。本研究の進め方については、家族の経済学へのマクロ的アプローチで著名なゲーテ大学ニコラ・ファックシュルーデン教授に指導を仰いた。彼女の進言に従い、本研究はまずファクトファインディングの部分を分けて先に学術誌へ投稿を行うこととした。後半の数量的研究については松田一茂氏と現行通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、イタリアで研究発表予定だったSociety of Economics of the Householdへの参加が中止になってしまったため。また、当初予定していた数値計算用ワークステーション購入について、費用の面からAmazon EC2を利用したクラウドコンピューティングで代用した。しかし今後も学会参加は難しくなると予想されるため、数値計算用ワークステーション購入を再検討する。
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Research Products
(5 results)