2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative macroeconomic study on the U.S. childcare market.
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19K13678
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保田 荘 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (00814352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育市場 / 女性労働 / 補助金 / 給付金 / マクロ経済学 / 家族の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年も、家族の経済学について、マクロ経済学的アプローチについて取り組んだ。メイントピックである、1990年代後半の米国における保育価格急騰と家庭的保育供給の減少というトピックについて、本年度は神戸大学松田一茂講師と共同で取り組んだ。Child Care Development Fundの影響について、簡単な数値計算モデル、及び解析的なモデルを試行してみた。当初は低所得層について家庭的保育と通常の職業での2つの選択を考えており、労働市場からの退出を仮定していなかった。しかし、これを追加すると、当初の仮説が成り立つのが難しくなることが分かった。このため、保育価格急騰を説明する他の仮説として、クリントン政権によるEarned Income Tax Credit (EITC) の検討を始めた。これは、主に低所得層のシングルマザーには補助金となるものの、家庭的保育の主な担い手である、子供がいて婚姻状態にある低・中所得層について考えると、むしろ限界税率が上がっているかもしれないというものである。これにより、家庭的保育が減少した可能性がある。現在は、制度の検討およびデータの整理を行っている。 他に、コロナ禍で開始した、家族の消費行動について日本の10万円特別定額給付金を用いた研究について、論文にまとめて出版することができた。特に、子供がいるかどうかの違いや、家族の人数の違いなどが、給付金受給後の消費行動について影響を与えないという結果は重要であったと考える。岸田政権による給付金は子育て世帯に限られていたため、私の研究結果は、この政策を検討するためには、消費喚起効果という数量的問題と、子育て世帯を優遇するという規範的問題について分け、後者に注目すべきであるという示唆を与えた。
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Research Products
(13 results)