2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13691
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
後藤 啓 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (80734269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人口動態 / 空間経済学 / 高齢化 / 貯蓄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、一国と地域ごとの人口動態を同時に説明する理論モデルを構築し、そこから少子高齢化や地方の過疎化などの問題に対しての政策的な含意を得ることである。研究代表者の先行研究として、Goto and Minamimura (2019)がある。この研究では、世代の設定が子どもと大人の2期間で、かつ、子どものときには何も経済活動は行わないと仮定していた。そのため、老年期を明示的に考慮していないことから、高齢化のような人口動態上の重要な問題を分析できていなかった。また、モデル内での主体の意思決定が静学的なものになっており、貯蓄のような動学的な意思決定を扱えていなかった。そこで本研究では、Fukumura. et al. (2019)を参考に、Goto and Minamimura (2019)を、老年期を明示的に考慮し、かつ、大人期から老年期に移動する際に一定確率で死亡するようにモデル設定を変更した。これにより、貯蓄を決める動学的な意思決定を扱えるようにし、また、死亡確率を変化させることで高齢化(長寿化)の影響を明示的に分析できるようになっている。
Fukumura, K., Nagamachi, K., Sato, Y., and Yamamoto. (2019) “Demographics, immigration, and market size”, Japanese Economic Review, https://doi.org/10.1007/s42973-019-00023-w
Goto, H., and Minamimura, K. (2019) “Geography and Demography: New Economic Geography with Endogenous Fertility”, Japanese Economic Review, Vol. 70, pp. 537-568
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、2019年度の間にモデルの設定を固め、たたき台となる解析的な結果を得る予定であった。 しかし、研究代表者の先行研究、Goto and Minamimura (2019)を、本研究課題に沿った形で拡張するモデル設定を決めるのに予定より時間がかかり、まだ解析的な結果は得られていない。現在はモデルの設定を固め、解析的な結果を得るために分析を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のモデルの設定案で分析を続ける。モデルは、必ずしも解析的に扱いやすいものではないため、数値シミュレーションを積極的に取り入れて、分析を行う。分析結果が出次第論文にまとめ、学会や研究会で報告する。最終的には研究成果の専門誌への掲載を目指す。 2020年度は新型コロナウィルスに対する対策として、大学の授業をオンラインで行っている関係で、授業準備などに例年よりも多くの時間を要しており、学期中に研究に割り当てられる時間は少なくなることが予想される。また、すでに研究が遅れていることもあることから、研究期間の1年間の延長も検討している。
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Causes of Carryover |
数値計算ソフトのMATALBを予定より低い値段で購入できたこと、大学付属の図書館を利用することで、当初の予定より専門書や専門学術誌の購入費を抑えられたこと、研究の進捗が遅れており、当初予定していた学会や研究会などでの発表を行えなかったことなどから、残額が生じている。 次年度以降は分析結果が出次第、積極的に学会や研究会で発表する予定である。ただし、新型コロナウィルスの影響で、オンラインによる開催が多いことが予想されるため、旅費は当初の予定よりかからないものと思われる。また、研究に必要なPC、ソフトウエアなどは購入済みである。したがって、基本的には専門書や専門誌の購入費、文具などの消耗品の購入費、専門業者による英文校正費、専門誌への投稿料などが主な支出となる予定である。
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