2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13691
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
後藤 啓 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (80734269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済統合 / 少子高齢化 / 人口動態 / 集積 / 重複世代モデル / 自国市場効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化、都市化、地域間の経済格差は多くの国で広くみられる現象である。これら、人口動態と経済活動の空間分布の問題を統一的に分析する空間経済モデルを構築し、特に高齢化の影響を分析した。そのために、従来の空間経済モデルに出生率を内生化した重複世代モデルの構造を導入し、地域や経済全体の人口動態、地域間の経済統合の影響などを分析した。特に、現役期から引退期へ移行する過程で、一定率の人が死亡して経済から退出するとし、生存確率の変化の効果を分析することで、長寿化が人口動態と経済活動の空間分布に与える影響を分析した。 次の結果を得た。1)人の地域間移動が困難な場合、長期的には人と経済活動の地域間分布は均等化される傾向があること、2)地域間移動が容易になると空間集積が現れること、3)長寿化によって空間集積が進み、経済規模が抑制されることが示された。特に、長寿化は引退期に備えて労働時間を増やすことで、子どもへの時間投資が過少になり少子化することと、空間集積が加速することで集積地の実質賃金と子育ての機会費用が上昇して少子化するという2つの経路で、一国の経済規模を抑制することがわかった。また、集積地が人や企業にとって有利になるという自国市場効果についても詳細に検討した。その結果、自国市場効果は地域間の経済統合の度合いに強く依存していること、特に、人と経済活動の集積地は、収穫逓増産業の純移入地域になる可能性があることが示された。最後の結果は、従来の空間経済モデルに個人の貯蓄行動を導入したことで得られる。 研究成果は、第36回応用地域学会研究発表大会、第70回KMSG(Kobe Macroeconomics Study GroupKobe Macro)研究会、第8回愛知大学経済学会ささしまセミナーにて報告した。研究成果は論文にまとめ、近くプレプリントととして公開する。
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Research Products
(3 results)