2019 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analysis of Market-based Environmental Policies: A Structural Estimation Approach
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19K13696
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
遠山 祐太 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (40834015)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境政策 / 排出権取引 / 構造推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、排出権取引制度に代表される市場メカニズムを活用した環境政策の経済評価である。今年度は、以下の2つの課題について取り組んだ。 1つ目の課題として、米国の火力発電所に対する二酸化硫黄規制(US Acid Rain Program)の初期(1995年から2003年)に着目し、排出権取引制度の有効性を評価する構造推定分析を行った。本研究においては、排出権取引制度下における企業行動、及び排出権価格の市場均衡に関する実証モデルを構築し、排出権取引下にある企業行動のデータを利用してモデルのパラメタを統計的に推定した。その上でシミュレーションを通じて、各種政策オプションについて経済評価を行った。分析結果からは、排出権の市場取引における摩擦が大きいゆえに、当該制度の効率性が損なわれていることが判明した。仮に市場取引において摩擦がないケースを考えると、平均的な汚染削減費用が18%低下し、全体としてより低い費用で汚染削減目標を達成することが可能であることが判明した。本研究は国際学術誌へ投稿を行い、2020年3月に改定要求を受けている。また、国内外のワークショップにて積極的に発表を行い、研究者たちとの意見交換を行ってきた。 2つ目の課題として、排出権価格の変動が非常に激しく不確実性が高い時期における、企業の排出権取引行動に関する実証分析に取り組んでいる。データの収集整理を進め、現在データ分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の土台となる、「排出権取引制度下における企業行動モデルの構造推定」に関する論文が学術誌から改定要求を受けており、さらなる分析への下地ができたと考えている。また、課題2についてもデータの整理を進めて、具体的なデータ分析へと進むことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
改定要求を受けた論文について修正を行い公刊を目指すとともに、他課題についても着実に分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
参加発表を予定していた国際学会について、学務の関係で参加をキャンセルすることとなったため。
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