2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13730
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
黒川 博文 兵庫県立大学, 国際商経学部, 講師 (90811430)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 競争選好 / 内集団バイアス / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、男女で競争に対する好みの違いを説明できる要因を経済実験を行うことで明らかにした。女性の高学歴化が進んでいるにもかかわらず、女性の管理職割合が低いことの行動経済学的説明として、競争選好に着目がされている。こうした競争選好の違いは、社会的要因から生物学的要因まで様々な角度から分析が試みられている。競争選好の差異を生み出す要因を明らかにすることは、どのような制度を設計すれば女性の社会進出が促されるかを明らかにできるため、社会的に重要である。 今年度は、競争選好の生物学的要因を明らかにしたKurokawa et al. (2020)を発表した。向社会的行動を促進するとされるオキシトシンが競争意欲に与える影響をラボ実験で検証したものである。オキシトシンは授乳時などに増加することが知られており、出産後の女性が社会復帰や昇進競争を避けるのは、オキシトシンといった生物学的要因の可能性がある。プラセボ投与群と比べてオキシトシン投与群が平均的には競争意欲が低いという結果は確認されなかった。ただし、有意ではないが、もともと向社会性があるとされる自閉症傾向にないグループではオキシトシン投与群の方が競争意欲が低いという傾向が観察された。 また、昨年度より実施している競争相手に対する集団意識が競争選好に与える影響の男女差を検証する論文の改訂および投稿を行った。 新型コロナウイルス感染症の影響により、ラボ実験を実施することはできなかったが、オンライン実験を進めるための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響によりラボ実験をうまく実施することができなかった。また、オンライン実験の準備も進めてはいたが、実施には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラボ実験、オンライン実験いずれの方法でも実験が実施できるように準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた経済実験を行うことができなかった。また、学会がオンライン開催となったため旅費がかからなくなった。新型コロナウイルス感染症の感染状況を見ながら、ラボ実験もしくは、オンライン実験の実施を行うことを計画している。
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