2019 Fiscal Year Research-status Report
生活保護に関する実証分析:空間経済モデルによる考察
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19K13732
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
檜 康子 大阪国際大学, 経営経済学部, 准教授 (30761514)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活保護 / 空間計量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次のような目的を持つ。(1)マクロデータを利用した時系列分析を行うことにより、日本におけるマクロの景気変動と生活保護との関係を把握する。さらに(2)空間計量分析により地域間の相互依存関係を明示的に抽出する。以上の分析を通じて、金融政策や財政政策などのマクロ経済政策の影響について、日本全体に及ぼす影響を分析し、さらに地域によって影響が異なるかどうかを検証する。また、特定地域を対象とした政策が周辺地域にどのような影響を持つのかを定量的に計測する。この分析結果を踏まえ、国全体及び、地方の両側面から生活保護政策のあり方を総合的に評価する。 研究初年度である2019年度は、①空間計量分析を行うためのデータの整備を行った。特に都道府県別の経済変数(生活保護の指標やGDP・賃金など)の関連データの整備を行った。②実証分析の基礎となるモデルを構築した。このモデルは空間計量分析に基づくものであり、マクロショックと地域固有の要因を識別できるものである。このモデルを活用して生活保護の分析を行う。このモデルの構築のため研究協力者と2か月に1度程度の頻度で研究会を行い、分析を行っている。このモデルの特徴を明らかにするため、地域の影響を分析しやすい労働のデータを使って分析を行った。このモデルを利用することにより、マクロショックの影響や固有のショックの波及効果の分析を行うことができ、 “Regional Wage Spillover in Japan: A Short-run Analysis,” 2019, Chukyo University Institute of Economics Discussion Paper Series December No.1907. として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2019年度は(1)マクロ集計データを基に、一国全体での分析を行うこと(2)地域別データの整理(3)地理的相関を捉えるモデルの構築、を予定していた。 (1)については、都道府県分析とマクロ分析とで使用する社会・経済的変数の選択を整合的に行うべきと判断したため2年目に都道府県パネル分析と並行して行う予定としており、研究は問題なく進行している。(2)については基礎的なデータの収集が終わっており、分析時に調整を行う必要があるものの順調に推移している。(3)についてはモデルの構築はすでに行われており、推定可能な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、2019年度に構築したデータセットと計量モデルに基づき、(1)VECMに基づくマクロ時系列モデルの推定(2)地域相関を考慮した推定およびシミュレーションを行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は資料収集及び研究協力者との打ち合わせのための旅費を計上していたが、この経費が執行されなかった。 本格的な推計作業に入るため、繰越を利用して2020年度はコンピュータを購入する。
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