2021 Fiscal Year Research-status Report

グローバル・オープン・イノベーションを促進する「連携」のマネジメント

Research Project

Project/Area Number	19K13809
Research Institution	Nihon University
Principal Investigator	中川充日本大学, 商学部, 准教授 (90638412)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords	グローバル・イノベーション / 組織内の連携 / 組織外の連携 / 新興国市場戦略
Outline of Annual Research Achievements	計画の3年目にあたる本年度に実施したことは、主に以下の3つに要約される。（1）本課題を中心に、これまでの研究成果をまとめて、学術図書を発行した（『資源蓄積のジレンマ-新興国市場戦略の本質的課題と超克-』, 中央経済社）。また、国内の主要な学会誌へ査読付き論文を掲載し、他に大学の紀要でも論文を公刊している。（2）新型コロナ流行の影響から、本年度も海外への調査出張は困難な状況であった。そのような状況への対応として、複数の協力企業との連携により、オンラインミーティングツールを活用して、海外拠点のマネジャーの方々に対するヒアリング調査を実施した。この一連の調査では、現地トップや本国親会社からの出向・駐在員（マネジャー）に対して、グローバル・イノベーションを実行するために必要となる「組織内外における連携」のあり方について、ヒアリングを行った。本研究課題を解明するために必要となる、貴重な一次データを収集することができた。（3）上記(2)も含め、これまでに蓄積してきたデータをあらためて分析し、いくつかの論文に纏めることができた。次年度以降には、これらも順次投稿していく予定である。例えば、日本企業の海外拠点においてどのようなグローバル・イノベーションが、どの程度実施されているのか、そして、グローバル・イノベーションを実現する組織マネジメントとはどのようなものか等について、詳細に実態を明らかにする論文がほぼ完成している。この論文は、今後の実証研究に先立って、グローバル・イノベーションの現状と課題を明らかにするという意味で、資料的価値が認められるものであると考える。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason ここ数年と同様に、世界的な新型コロナウィルスの蔓延が止まらず、海外調査や研究発表の計画を大幅に見直す必要が生じた。特に、日本企業の海外子会社に対して予定していた調査活動は、現地への渡航が不可能であったため、まったく実施することができなかった。オンラインミーティングのツールを上手く活用し、海外拠点の方々に対するヒアリング調査を実施したものの、やはり現地へ出かけて現場を確認しながらの調査とまったく同じ情報を得ることは困難であった。研究成果を書籍や論文に纏め、成果を社会的に公表できた点については一定の進捗があったとも捉えられるものの、全体的には「遅れている」と言わざるを得ない状況にあると考える。
Strategy for Future Research Activity	上述の通り、研究計画に遅れが生じている現状をふまえ、本研究課題の延長を希望する旨、申請を行った。計画延長後の最終年度にあたる次年度には、引き続き、本研究の成果をしっかりと纏め、社会へ発信することに注力したい。本研究課題の鍵となる「グローバル・イノベーションを促進する組織内外の連携」は、理論的・実践的意義が大きいことは指摘されているものの、現状の把握や実証的な研究は十分に蓄積されていない。したがって、研究成果を、関連する研究の文脈において適切に位置付け、主張することは、極めて重要な課題である。さらに、最終的な成果としては、当初の研究計画とおり、学術論文として発表する予定である。国内・海外の学会等が発行する学術誌に、査読付き学術論文として公刊することを目指したい。
Causes of Carryover	前年までと同様に、新型コロナウィルスの流行により、調査ならびに成果発表を目的とした海外渡航がすべて中止となった。次年度使用額が生じた理由としては、このことによる影響がもっとも大きい。そのため、研究計画を状況に合わせて柔軟に修正し、次年度に大規模なサーベイ調査を実施することとした。次年度の使用額は、主にそのための環境整備と実施にかかる費用として支出する計画である。