2019 Fiscal Year Research-status Report
上位管理者に焦点を当てた予算スラックの形成メカニズムの解明
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19K13872
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 正隆 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (00706905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 予算スラック / 上位管理者 / コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,予算スラックの形成に関して上位者に焦点を当て,(1)上位者が実施するコントロール手法の選択や程度に影響を及ぼす背景・動機,および(2)上位者によるコントロールと予算スラックの形成要因との間の関係,について理論的かつ実証的に解明することを目的としている。 上述の研究目的に対して,2019年度における実施計画は,本研究の基礎となる文献レビューおよびインタビュー調査を中心に実施予定であった。また,そうしたレビュー等によって理論モデルを試論的に構築し,次年度における質問票調査の実施に向けたパイロット調査も実施予定であった。理論モデルを構築するため,他分野の文献レビューを実施し,企業の戦略やその経営環境などが上位者によるコントロールの選択等に影響を及ぼす要因として考えられる。くわえて,同じ会計分野でも視点を変えて財務会計に関する文献をレビューすることで,出資者あるいはアナリストの存在があるのではないかという考えが浮かんでいる。こうした文献レビューによって試論的に構築している理論モデルを精緻化するために,企業に対してインタビュー調査を実施している。 本研究のテーマである上位者に焦点を当てた予算スラック研究は,近年新たに取り組まれてきた内容であり,直接的な先行研究はあまり存在していない。そうした状況において,他分野における知見を援用すること,および企業における実践から知見を蓄積することは,非常に意義があり重要である。 一方で,上述の文献レビューおよびインタビュー調査による成果を学会等にて報告予定であったが,実際に公表するには至っておらず,研究成果として残せていない部分が本年度において反省すべき点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究計画にあった文献レビューおよびインタビュー調査を中心に行った。しかし,想定よりも理論モデルの構築が遅れ、インタビュー調査の実施が遅れている。それに応じて、データのとりまとめやモデルの精緻化作業も遅れており、結果として研究成果の発表にも至れていない。 以上から、現在までの達成度としてはやや遅れていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては以下のことを予定している。 まず、インタビュー調査を継続する。調査対象を増やし、データの蓄積を図ることによって、モデルの精緻化を進める。そのために、随時調査依頼をしていく。ただし,昨今の状況から現在の協力企業からの拒否も想定される。そのため、より一層の対象数拡大に努める。 第二に、これまでの研究成果をまとめて学会で報告する。これまでの調査より得られたデータをまとめ、成果として発表する予定である。ただし、これも昨今の状況から学会の中止等も考えられる。その場合は大学の紀要論文等で公表していく。 第三に、質問票調査実施の準備を進める。本研究の計画では、最終的に質問票調査を実施し、統計的実証分析を行う予定である。そのために、仮説の設定、質問票の作成、対象者のリストアップなどを進める予定である。具体的には秋以降の実施を予定している。
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Causes of Carryover |
旅費について,調査先企業の都合(予算編成の繁忙期)により、調査実施予定日が4月以降に変更されたため予定利用額を下回った。また,次年度実施予定の質問票調査の母集団を拡大(東証一部のみ→東証二部およびJASDAQを含む)させることに伴う追加コストを補うため金額の繰越しを設定した。 繰越した金額は,上述のとおり,本年度実施予定の調査において使用する予定である。
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