2023 Fiscal Year Annual Research Report
流動化・多様化する社会における協力のメカニズムの理論的・実証的解明
Project/Area Number |
19K13888
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大林 真也 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (10791767)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マクロ社会学実験 / 協力行動 / オンライン実験 / ゲーム理論 / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、流動的な社会関係において、人々が協力しあうためのメカニズムを理論的かつ実証的に解明することを目的としている。最終年度となる本年度は、理論の総括とそれを実証するためのオンライン実験を実施した。ブルデューのディスタンクシオン理論に基づくと、集団において何が望ましいとされるかという価値観や規範が明示的で合ったり、その規範に基づいて集団が序列化される場合、個人の行動も変わってくることが予測される。具体的にはにはランキングが可視的であれば、個人はそのランキングにおいて上位に位置しようとするインセンティブが働き、集団において求められる行動をとるようになることが予測される。こうした理論的知見を実証するために、オンラインでマクロ社会学実験を実施した。具体的には、オンライン上に作成した架空の掲示板News Chatに被験者を呼び、そこで数日間、コメントの書き込みやコメントに対するリアクションをしてもらうという実験を行った。掲示板は、匿名条件(ランキングが可視的ではない)と非匿名条件(ランキングが可視的)の2つがあり、被験者はそのどちらかにランダムに割り付けられた。結果として、まずコメントの内容は、匿名条件の方が、毒性値が高くなった。また、相手に対するリアクションは、非匿名条件の方が、ランキングを気にした評価づけが行われていることがわかった。これは、集団に一旦与えられた規範に基づいて相互行為が秩序づけられると、その秩序に従う形で行動が再組織化される(ランキングの高い人を評価する)という正のフィードバックが発生したことを示している。マクロ社会学実験を実施したことによって初めて、個人の行為とマクロな秩序の相互作用が観察された。
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