2020 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害の「ニューロ・バイオロジカル」モデルが医師・患者・家族に与える影響の考察
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19K13906
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 理絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (70837335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 医療化 / 病いの意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、3つの課題、すなわち①摂食障害の医学言説に関する文献調査・分析、②摂食障害臨床の継時的変化についての調査・分析、③当事者・経験者の自己アイデンティティや受療行動、および家族の疾患理解についての調査・分析、を設定している。 2020年度は、インタビュー調査を通じて、課題①と②に取り組んだ。具体的には、摂食障害の当事者・経験者およびそのご家族、摂食障害の専門医、自助グループ運営者を対象としてインタビュー調査を行った。インタビューには、約50名の方にご協力をいただいた。 特に、摂食障害の当事者・経験者の方々については、約40名の方のご協力を得て、幅広い年代や、異なる地域の方々にお話をうかがった。その主な内容は、摂食障害になる経緯や診断・治療経験、原因や回復についての個人的な考え方などである。インタビュー終了後には、トランスクリプトを作成し、語りの内容に応じて整理・分類を行った。 今年度から来年度にかけて、当事者・経験者の語りを中心に、インタビューデータの分析を進める。具体的には、当事者・経験者が自らの摂食障害の経験について、様々な言説資源と相互作用しながら、どのように受療行動を行なったり、病いの意味を構築したりしているのかという点について、より詳細な検討を行う。さらに、ご家族や治療者の視点から得られた語りの分析を加える。 その上で、現代の摂食障害についての経験をより包括的な観点から描き出し、また関係者に特に影響を与えている摂食障害の「説明モデル」を明らかにすべく、考察を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、摂食障害に関する文献研究および、インタビュー調査が概ね終了した。新型コロナウイルスの影響により、一部延期となっているインタビュー調査もあるものの、インタビュー調査全体としては当初予定していたよりも多くの方にご協力いただいた。次年度、考察を完成させ、論文や報告書等に研究成果をまとめるために必要な調査を実施できたという点では、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、次の3点の作業を行う。1点目は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、延期となっていたインタビュー調査を実施することである。2点目は、文献研究およびインタビュー調査から得られたデータの考察を完成させることである。3点目は、考察内容について、社会学もしくは医学史関連の学会で学会報告もしくは論文投稿を行い、本研究課題の成果について報告することである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、インタビュー調査および史料調査のための出張がやむをえず中止・延期となった。延期となった調査については、次年度に実施する予定である。
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