2021 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害の「ニューロ・バイオロジカル」モデルが医師・患者・家族に与える影響の考察
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19K13906
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 理絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (70837335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 自助グループ / 家族会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、①インタビュー調査、②一部データの分析、当該データについての学会発表、論文執作業、③研究課題の報告に関連した企画の運営を行った。以下では、上記三点の内容について詳細を報告する。 ①について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、前年度までに実施が完了しなかったインタビューを実施した。インタビュー対象者は、摂食障害に関連する自助グループや家族会などのメンバーである。こちらの協力者の方々のインタビューを実施したことで、本研究計画におけるインタビュー調査が全て完了した。 ②について、昨年度までに実施した文献調査およびインタビュー調査の内容の分析を進め、その分析内容の一部を報告した。2021年10月には『第24回日本摂食障害学会学術集会』において、「摂食障害と情報環境との関係ーインタビュー調査を通じた時代的変化と現在の特徴の検討ー」というタイトルで口頭発表を行った。また、同月末には、本研究課題の一部のデータおよび分析内容を含んだ学位論文を東京大学総合文化研究科に提出し、博士号を取得した。博士論文のタイトルは「摂食障害の歴史社会学ー食行動の逸脱はどのように語られてきたのかー」である。 ③について、2022年3月には「摂食障害をかかえて生きるー当事者・経験者と考える、社会生活やライフイベントとの向き合い方ー」というタイトルで全4回の講演会・ワークショップを企画し、うち前半2回を実施した。(実施日は第1回:3月5日、第2回:3月27日)また、この企画の中で「摂食障害と社会」というタイトルで、本研究課題の文献研究にもとづく報告を行った。本企画の実施詳細を、東京大学総合文化研究科・教養学部附属「共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」のブログ報告ページにて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度までに新型コロナウイルスの影響のために進捗が遅れていた計画を実施し、また当初予定していたデータの分析や考察の作業を進めることができた。 昨年度までの計画のうち進捗が遅れていた部分とは、具体的に、摂食障害に関連する自助グループや家族会の方々へのインタビュー調査であった。昨年度の時点で延期となっていたインタビューについて、本年度はすべて実施を完了した。 なお、インタビュー調査の完了が本年度までずれ込んだことにより、データの分析や調査全体の考察については今年度中に完了することができなかった。この点については、次年度の課題としたい。 その一方で、本研究課題で調査した内容の一部については、次の二つの形式で成果を発表することができた。一点目は「日本摂食障害学会」における学会報告である。二点目は、摂食障害に関連する一般公開イベントを、経験者・当事者の方々と企画し実施したことである。 新型コロナウイルスの影響は今年度も残ってしまったが、当初の研究計画は確実に進捗しており、おおむね順調に進展したと言って差し支えないだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、次の二点の作業を行う。一点目は、文献研究およびインタビュー調査から得られたデータの考察を完成させることである。二点目は、考察内容について、社会学もしくは医学史関連の学会での口頭発表および論文投稿を行い、本研究課題の成果について報告することである。また、学会だけではなく、一般の方々向けの講演会やシンポジウムなどを企画し、研究成果や関連する内容の報告を行うことも目指したい。
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Causes of Carryover |
本研究計画は、2020年度以降の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、一部の調査が延期となっていた。本年度は、昨年度実施が延期となっていた一部のインタビュー調査を実施したが、この調査の遅れのために、本年度予定されていたデータの分析や考察の作業に遅れが生じた。したがって、次年度使用額が生じてしまった。 次年度使用額は、2022年度のデータの分析、考察にかかる文房具、周辺機器、書籍等消耗品の購入に充てるほか、研究成果を発表する予定である所属学会の学会費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)