2019 Fiscal Year Research-status Report
人的ネットワークを活用した地域支援のあり方に関する研究
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19K13934
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
野原 康弘 自治医科大学, 医学部, 助教 (80833053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人的ネットワーク / 健康指標 / 孤立 / 地域福祉実践 / 中山間地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域住民の参画と協働による相互支援の地域共生社会の実現に向けて,地域における人的ネットワーク(PN)を活用した効果的かつ継続的な地域支援のあり方を学術的問いとし,地域住民のつながりと健康状態に関する評価モデルとそれらを応用した地域支援モデルを検討することを目的としている。 当該年度は中山間地域の自治会を対象として人的ネットワーク構造と健康指標の把握を行うため、地域の関連団体と協力し11の自治会で調査を進めた。 各自治会でPNの密度は異なり,自治会内の人のつながりの強さを定量的に把握することができた。PNの構造のハブとなる媒介中心性の最も高い人物の多くは,総次数の高い人物と一致した。総次数または媒介中心性の高い人物は自治会長であることに限らず,民生委員や老人クラブ会長など,自治会ごとのPNにおける中心人物の特徴が異なる。一方で,PNを可視化・定量化することにより自治会内における孤立者が確認され,また,公営住宅に居住する高齢者のPNの固定化が確認された。さらに,媒介中心性が最も高い人物をPNから省いたとき,ネットワークの密度はすべての自治会で低下し,孤立者の増加が確認できた。 老健式活動能力指標と食物摂取頻度から高齢者の健康状態を把握し,自治会または世帯類型によって両指標に差がみられた。特に,独居世帯では夫婦世帯および家族同居世帯に比べて両指標の平均得点が低く,独居高齢者の健康指標の低下が懸念された。PNの総次数と両指標とに正の相関がみられ,PNの充実が健康指標に影響を与える可能性が確認された。 さらに、それらの結果をもとにして、支援の対象とすべき人物の支援プランを作成し、地域のネットワークを意識した見守りや配食サービスなど実践活動に展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自治会の調査は順調に進み、あらたな支援プランの開発とそれをもとにした実践活動まで展開できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在取り組んでいる中山間地域での調査研究を継続させつつ、別の農村地域もしくは市街地地域を対象とした調査に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は想定より人件費の使用が少なく次年度使用額が生じた。翌年度は農村部もしくは市街地部での調査を想定しているため、調査にかかる人件費が大きくなることが予想されるため、請求した助成金と合わせて計画的に使用していく。
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Research Products
(3 results)