2022 Fiscal Year Annual Research Report
人的ネットワークを活用した地域支援のあり方に関する研究
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19K13934
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
野原 康弘 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, コーディネーター (80833053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人的ネットワーク / 健康指標 / 孤立 / 地域福祉実践 / 中山間地域 / ネットワーク分析 / 持続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は2つの地域でパーソナルネットワーク調査を実施した。1つは過去に同様の調査を実施した地域の5年後の経年変化を把握する調査である。53名の高齢者に対面調査(ヒアリング)を実施したところ、施設入所や死亡による人的ネットワークの縮小が確認された。一方で、地域内での役割(たとえば老人会会長)の変化により人的ネットワークにも変化が見られ、前回の調査と比較して人的ネットワークが増加する対象者も存在した。健康状態について、老研式活動能力指標得点は前回の全体平均(5年前:10.0点)と比較して、11.0点と改善されていた。これは、施設入所と死亡した対象者が除かれ、新規高齢者が調査対象として加わったことによると考えられる。一方で、食物摂取頻度得点は前回の全体平均(5年前:20.5点)と比較して、19.5点と悪化していた。この理由は不明確であるが、1つの理由として新型コロナ感染拡大により活動量が低下し、食物摂取量に影響を及ぼしているのではないかと推察できる。もう1つの地域では、質問票の配布による非対面での調査を実施し、回収率は75.2%であった。ただし、上記の調査方法とは異なり、「親しい人」の上限(最大7名)を設けた調査であることに留意が必要である。親しい人を挙げた回答者数は約7割であった。健康状態に関する設問に関して、老研式活動能力指標は合計点数平均10.1点であった。食物摂取頻度(10品目)の合計得点は全体平均18.7点であった。人的ネットワークと健康指標の関連性について、親しい人の数が多いほど健康指標の得点は平均的に高くなる傾向にあった。 研究期間全体を通じて、パーソナルネットワークの経年変化の観察では、高齢者のネットワークの変化(縮小と増大)を把握することができた。また、2地域の比較により、パーソナルネットワークと健康指標の相関関係を把握することができた。
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Research Products
(2 results)