2021 Fiscal Year Research-status Report
地方都市において展開可能な貧困対策に関する基礎研究:カナダの先進事例比較を通して
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19K13970
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
中村 直樹 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (30458210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 貧困 / 貧困理解 / カナダ / 地方都市 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先進事例比較に基づいて、地方都市における「貧困実態」を踏まえた地域レベルで開発・展開できる貧困対策の導入可能性・有効性を検討する、という目的を達成するために、ハリファックス市の貧困対策の各プロジェクトの調査を実施する。そこで得られた知見を基に、パイロットプロジェクトとして実際に函館市において貧困対策のプロジェクトを実践し、その実践効果を検証し、最終的に「日本の地方都市での貧困対策への応用可能性」を示すことを達成する。 2020年度以降は、当初計画していた、海外現地調査、ならびに市民を対象に実践を始める予定であったパイロットプロジェクトが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって実施が困難になった。そこで、文献研究によって地域の貧困対策について研究を進めるとともに、日本におけるコミュニティを基盤とした貧困削減の取り組みについて研究を実施し、The Kodomo-Shokudo: Cafeteria for Children as a Poverty Reduction Program in Japanと題してInternational Federation of Social Workers Online Global Conferenceで報告をおこなった。また、2021年12月には、国際共著であるCommunity Development Case Studies in Asia-A Collection of Contemporary Cases from Social Work Perspectiveを刊行し、その第1章“Supporting Children and Young People by Community Development: Case Studies from Japan”にて日本におけるコミュニティを基盤とした貧困削減の取り組み等の研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、ハリファックスの貧困問題に関する理解のために、カナダ統計局の国勢調査データなど広く用いられているデータ類の他、非営利組織による貧困に関する自主的調査やカナダの学術雑誌に掲載された論文のレビューをおこなった。次に、ハリファックスの地域レベルで開発・展開されている貧困対策に関して、UNITED WAY HALIFAX(2018)によってレポートされている「Focus Areas for Change & Ideas for Action Report (コミュニティによって開発された貧困削減のための129のアイデア・アクション)」のレビューをおこない、その内のPoverty Solutions Discussionをパイロットプロジェクトとして函館市内の学生を対象に試行した。なお、その成果は「A Practice about Building Poverty Solutions in Hokkaido, Japan」として25th Asia-Pacific Joint Regional Social Work Conferenceにおいて発表した。 しかし、2020年度と2021年度は、申請当初に予期していなかったこととして、海外現地調査と函館市において市民を対象に実践を始める予定であったパイロットプロジェクトが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により計画が中止となり、感染状況を見ながら2022年度以降に延期せざるを得ない状況となっている。しかしながら、文献に基づく研究を進めており、その成果は国際学会での発表と海外で刊行される書籍に収録された。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2020年度と2021年度に新型コロナウイルス感染拡大の影響により計画延期となっていた海外現地調査、ならびに、そこで得られた知見を基にした、函館市において市民を対象に実践するパイロットプロジェクトの実施を感染対策に留意しながら取り組み研究を進めていく。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、海外現地調査や市民を集めて行う本研究は、直接・間接的に、また長期的に影響を受けることが懸念される。研究の遂行のために、刻々と変化する状況下において、柔軟な発想と臨機応変な対応をおこない、海外現地調査や市民を集めてのパイロットプロジェクトの代替案としてWeb・電話会議による調査研究の検討をおこなう等、研究の推進方策を常に図っていく。
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Causes of Carryover |
申請当初予期していなかったこととして、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年度及び2021年度に計画していた海外現地調査と市民を集めてのプロジェクトの実施が中止となったため次年度使用が生じた。なお、中止となった調査・研究計画は2022年度に延期し実施する予定である。なお、2022年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響が継続する場合は、代替案として文献およびWeb・電話会議による調査・研究を計画し、そのための研究環境を整えるために使用する。
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