2022 Fiscal Year Annual Research Report
小地域を基盤とした子育て支援活動のプラットフォーム機能に関する研究
Project/Area Number |
19K13974
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
東根 ちよ 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 講師 (30777842)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 小地域 / 地域福祉 / 地域運営組織 / 子ども家庭福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、子どもの貧困、児童虐待、ヤングケアラーなどの課題を背景に、子どもの福祉や子育て支援について社会的な関心が高まるなか、公的な支援施策とともに、NPOやボランティア団体などによるボランタリー活動が着目されている。 そのようななか、本研究は、近年の子どもの福祉や子育て支援のなかで着目されづらい、地域コミュニティが小地域を基盤に取り組む子育て支援活動の機能について明らかにすることを目的とした。先行研究では、地域コミュニティの取り組みが、子どもや家庭を取り巻く課題の直接的な解決ではなく、地域社会にどのような影響を与えているのかという側面に着目する実証研究は決して多くない。そのような先行研究の状況もふまえ、本研究は、鳥取県において「地区の子どもは地区で育てる」を理念に活動を展開する地域運営組織の事例分析を行っている。 最終年度は、地域運営組織の関係者および子育て支援活動の関係者へのヒアリング調査を重点的に実施した。令和元年度に行った基礎調査(アンケート調査)、令和3年度のフィールド調査に加え、最終年度のヒアリング調査から、地域コミュニティが行う子育て支援活動の内実は、①子どもの安全を守る活動、②体験を豊かにする活動、③子どもの居場所づくり、④「気になる子ども」の見守りに区分され、①②③による子どもと大人の社会関係のうえに④が行われていることが明らかになった。また、地域コミュニティは専門機関による子育て支援の協力者や支援者あるいは協働先ではなく、あくまでも地区の子どもを地区で育む「主体」であることが明確となった。 子どもを取り巻く課題に対して社会的な関心が高まるなか、本研究は、公的な専門機関やボランタリー活動とともに、地域コミュニティが主体的に取り組む活動にも注目することの重要性を示唆するものとなった。なお、研究期間全体を通じた研究の成果については、ブックレットとして刊行される。
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