2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の残存能力を最大化する住環境評価指標開発:ICFによる類型化と妥当性検証
Project/Area Number |
19K14005
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Research Institution | The Dia Foundation for Research on Ageing Societies |
Principal Investigator |
土屋 瑠見子 公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団, ダイヤ高齢社会研究財団(研究部), 研究員 (20726525)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住環境 / 高齢者 / 評価指標 / 国際生活機能分類(ICF) / 残存能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
要介護高齢者の生活の質を維持するには、本人の望む限り残存能力を最大化し、できる限り自律的に生活することが望まれる。しかし多様な障害をもつ要介護高齢者において、どのような住環境が残存能力を最大化するのかは明らかではない。本研究では、要介護高齢者の残存能力を、障害特性と住環境との組み合わせから評価できる住環境評価指標を日本で活用するための妥当性検証を行っている。 2019年度は、研究1として要介護高齢者に対する住環境評価指標の妥当性検証プロセスに関する文献レビューを行った。検索には、社会福祉学、建築学、医療・介護分野など分野横断的な文献の収集を目指して文献データベースを選択し、関連する文献を収集した。住環境評価指標は、地域の文化・生活習慣の影響を受けるため、特に東アジア・東南アジアに着目して文献の精査を行った。その結果、選択された論文数は115論文で、このうち22論文がアジア地域で使用されている住環境評価指標・項目を含んている論文として採択された。採択論文のうち6論文は、オーストラリアで開発された転倒予防のための住環境評価指標を自国で使用できるように改変しており、信頼性・妥当性の検証に加え、臨床現場での有効性、異文化間での適用可能性の検討が行われていた。今年度は、これらの論文を参考に、次年度以降の基準関連妥当性、スコアリングの妥当性検証計画の具体化までを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に従って研究を遂行し、アジアを中心とした諸外国の住環境評価指標の開発状況とその内容について文献レビューを終了できた。また、次年度以降の作業計画の具体化を進められたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。国内外学会や学術雑誌での研究発表は今後実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は予定通り、要介護高齢者の生活機能と環境因子の両方を捉え得る概念として国際生活機能分類(ICF)を用い、住環境評価指標項目(案)を類型化して、基準関連妥当性を検証する。方法は、Bailey(1973)を参考に類型化作業を以下の手順で行うことを予定している。 まず、全評価指標のうち、「A屋外環境」、「B入り口」、「C屋内環境」のそれぞれから10項目程度を抽出し、ICF枠組みに基づいて分類作業を行う。この作業に基づいて、分類作業のルールを作成する。次に、分類ルールに基づき、医療資格を有する研究者2名が別々に類型作業を行う。分類を実施後、研究者2名の分類結果を照らし合わせ、結果が異なる項目は議論を行い、もし1つの結論が出ない場合には別研究者の助言を得て分類を完成させる。分類の結果からICFと評価指標間の共通性、相違性に着目し基準関連妥当性を検証する。検証の過程は、本方法論の実施経験のある研究協力者の助言を得ながら実施する。 この作業と同時に、2019年度の研究結果については、国内外学会での発表および学術雑誌への投稿作業を進める。
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Causes of Carryover |
情報収集・関係者との意見交換を目的とした国際学会の参加を予定していたが、2019年度の研究結果発表も合わせて行うことがより良いと考え、2020年度に持ち越しとした。既に国際学会への演題登録を行っており、今後発表準備を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)