2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K14040
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岡崎 史子 龍谷大学, 農学部, 講師 (10756745)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 果物アレルギー / アレルゲンコンポーネント |
Outline of Annual Research Achievements |
果物アレルギーは、子どもに多い卵や牛乳アレルギーと異なり、成長してから発症し、さらには対象となる果物が増えていくという特徴を持っている。申請者は代表的な植物アレ ルゲンであるLipid Transfer Protein(LTP)の研究過程で、新規アレルゲンGibberellin Regulated Protein(GRP)を発見した。LTPとGRPは、どちらも塩基性の低分子量タンパク質であるため分離が難しく、これまでの解析ではLTPにGRPが隠れてしまっていた。そこで本研究では、申請者の強みであるモノクローナル抗体技術を駆使して両者を明確に分離し、GRPのアレルゲンタンパク質としての特徴を明らかにする。「GRPがなぜ重篤なアレルギーを引き起こすのか」、という謎を明らかにすることが、難解な果物アレルギーの作用機序を正しく理解する近道であり、診断・治療・予防への道筋を開くと考えている。 2019年度は、モノクローナル抗体の交差反応性を利用して各種植物性食品中のGRPの存在を探った。この実験は、LTP同様にGRPも様々な植物に含まれているため、汎アレルゲンであることを予想して行ったものである。その結果、すでにアレルゲンとして報告されている梅やオレンジ等の他にも、様々な植物性食品にGRPが存在していることが明らかになった。ただし、すべてのGRPがヒトにとってアレルゲンとなっているかどうかについては不明であるため、現在、一部の食品についてはアレルゲン性を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた「交差反応性の解析-GRPアレルギー患者が注意すべき食品の探索- 」については一通り検討できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GRPの低アレルゲン化の方法について検討する予定である。 果物のアレルゲンコンポートの中には、容易に変性するものがあるため加熱すれば食べられる果物アレルギー患者も多いが、GRPが原因の桃アレルギー患者は缶詰などでも生の果物と同様に発症する。これは、GRPはS-S結合が多く、熱や消化酵素による影響をうけづらいためであると考えている。そこで、食べられる調理方法の検討のため、オートクレーブ処理や、酵素処理などを施したモモGRPに対するモノクローナル抗体やGRP陽性患者血清の反応性を調べ、低アレルゲン化条件を探す。その後、果物としておいしく食べられる調理法へと展開したい。
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Causes of Carryover |
残額が少なかったため、有効的に活用するために無理に使い切ることはしなかった。2020年度の消耗品購入に充てる予定である。
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