工部大学校を中心とした明治前期技術教育の総合的研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K14061
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 和田 正法 三重大学, 教養教育院, 准教授 (10724990)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 工部大学校 / 技術教育 / 工業教育

Outline of Annual Research Achievements

本年度は、前年度にCentre Europeen d'Etudes Japonaises d'Alsace (CEEJA)からの招聘を受け、国際ワークショップInternational Conference on Knowledge on the Move, Formalization of Technical Know-how and the Creation of an Institutional Framework for Technical Education in Meiji Japan (Project: From Craftsman to Engineer II)において、二件の講演を行った成果をもとに、出版計画を進めた。これは、本課題の「総合的研究」を行うにあたって、従来、申請者が研究調査を行ってきたものを総括する作業の一環である。なお、この成果は、現在、公表に向けて準備を進めており、現状では令和3年度中に刊行することを予定している。
くわえて、2022年中にパリで行われる予定の国際会議The 19th World Economic History Congressにおいて、ドイツをはじめとする研究者からの招聘を受け、東アジアの人材育成と経済発展の歴史的アプローチに関するプロジェクトに参加することが確定した。これにより従来取り組んできた、工部大学校に関する人材育成に関する知見を、より大きな歴史的全体観の中に位置付ける着想を得ることができ、研究に着手した。
これらの研究の進展は、本年度中に成果として公開するに至っていない。しかしながら、教育史における教育と工業化の関係の解明という、従来取り組んできた課題を進展させるものである。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、前年度に開催された国際ワークショップの成果を刊行するための計画を進展させることができた。この成果は、次年度に欧文書籍として刊行される予定である。しかしながら、前年度に引き続き、年度末の調査作業は、新型コロナ感染症の拡大によってやむなく停滞を余儀なくされた。ある程度の進展はあったものの、当初の計画とは異なる現状を見据えて、前年度に引き続き、やや遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本年度中は、以前より新型コロナ感染症の影響が終息にいたることなく、当初予定していた時期に資料の収集や出張をともなう調査活動を行うことができなかった。令和3年度中は、現地への出張を行うことを期待しつつも前提とせず、遠隔地からの資料請求等を補足的に行うことで、継続的に情報の収集を行うように努めることとする。また、国内外の研究者とも、オンライン技術を用いた意見交換を行うことが従来よりも容易になりつつあるため、こうした技術を積極的に利用することとする。

Causes of Carryover

研究費用について、本年度中は、予定していていた出張の取り止め等により、計画通りに遂行することができなかった。令和3年度中は、出張を想定して申請した費用を、資料の請求や購入、オンライン環境の整備といった別の使途に積極的に振り分けることとする。