2020 Fiscal Year Research-status Report
教育実践における自律性と科学性の関係に関する教育思想史的研究
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19K14079
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Research Institution | Osaka Aoyama University |
Principal Investigator |
田岡 昌大 大阪青山大学, 健康科学部, 講師(移行) (90804758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 城戸幡太郎 / 教育科学 / 戦後教育学 / ヒューマニズム / 教育実践 / 生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、主として昨年度から継続して城戸幡太郎の教育思想研究を中心として取り組んだ。具体的には、昨年度の研究成果を土台としながら、戦後期のみならず1920年代の城戸幡太郎の文献も含めて検討することで、教育思想についてより包括的に検討を行った。また、そのために城戸の思想を中心として本研究課題に関わる文献資料を収集し、講読した。 これらによって、各論の形で検討を進めてきたこれまでの研究成果を「立場」「生活」「ヒューマニズム」をキーワードとすることによって、城戸幡太郎の教育思想における教育実践の自律性と主体性の把握と教育科学論の関係を明らかにした。すなわち、科学によって明らかにされた事実に対して教育実践の主体性が要請される時に、それがどのような論理によって科学と架橋されているのかについて、城戸幡太郎の教育思想に即しながら明らかにした。また、そうした思想の意義と限界について明らかにした。 この成果は、単行本所収の論文として執筆し、発表した。 ただし、研究成果としてまとめられたのは、城戸幡太郎の教育思想研究の成果に関する範囲であった。城戸の教育思想の検討を通して、改めて教育実践の自律性と科学性の関係を捉えるには、より射程を広げた検討が必要となる。この点については、次年度に継続して取り組んでいく予定である。 また、こうした城戸の思想をより広い文脈で捉えるため、より広く思想史や心理学史の文献の収集、講読を行った。これについては、今年度の成果と蓄積を活かしながら、次年度に継続して取り組んでいく予定である。 なお、今年度は外部の研究者と討議などをほぼ行えていないため、他の分野の研究者とのディスカッションなどは十分にできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度の研究課題を引き続き進めながら、城戸幡太郎の教育思想研究を中心としつつも、その成果を足場として、より広い射程で検討を進める予定であった。 城戸幡太郎の教育思想研究については、一定の成果を出すことができ、おおむね順調に進展していると評価できる。 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、研究時間が当初の想定通り取りにくくなってしまった。また、研究発表の機会や打ち合わせ等の機会を失った。そうした中でもオンラインの活用によってある程度カバーできた部分もあるものの、十分ではなかった。その結果、特に城戸の教育思想研究の成果を踏まえ、より広く教育思想史的観点から再検討するという研究計画を十分に遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
城戸幡太郎の教育思想研究については一定の成果が認められるため、その関連諸領域を含めた総合的な検討を進めていきたい。特に城戸が自身の教育思想を構成する前提としていた心理学構想や同時代の他の思想との関係について検討する必要がある。また、本研究課題を現代的な問題として引き取るためにも、射程を広げて検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、業務量が想定と変わった。特にオンライン授業への対応によって、研究に割くことのできる時間が減少した。それに伴い、文献を講読する時間などが減少したため、予定した通りに研究計画を進めることができなかった。また、これと同様の理由で出張が不可能となり、研究討議が十分にできなかった。オンラインでのディスカッションをするための環境を揃え、それによってある程度賄うことはできたが、限界があった。 次年度には、この間講読できなかった文献の講読を進めていくと共に、新たな資料・文献の収集を進める。また、これらによって得られた研究成果をまとめていきたい。また、ディスカッションについてはオンラインのツールを有効に活用することによって実施していく。
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Research Products
(3 results)