2023 Fiscal Year Annual Research Report
子ども理解のメンタルモデルに基づく実践知獲得・共有のためのツールの開発
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19K14101
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
上山 瑠津子 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (10804445)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども理解 / 省察 / 可視化 / メンタルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,子ども理解と保育実践の関連を明らかにするために,これまで実施された保育者の発話データの再分析と国内外での学会発表を行った。 1)保育実践のうち援助方略については,Kurki et al(2016)の「活動関連方略」「感情関連方略」に「人間関係関連方略」を加えた3カテゴリーで分類,集計をした。攻撃的な幼児に対する援助方略で最も多かったのは「活動関連方略」(77.5%)であり、内気な幼児への援助方略では「関係関連方略(57.1%)」であった。子ども理解と援助との関連では,乱暴な幼児の場合,保育者が人間関係や家庭環境などの対象児を取り巻く背景を理解することによって,園生活に必要な関係づくりといった対応することが示された。内気な幼児の場合,保育者が幼児の言動を捉えたり,心情を推論したりすることによって,園生活で経験できる遊びや活動を積極的に展開させる対応を行うことが示された。このように,子どもの特性によって理解と関連の様相は異なっているが,子ども理解と関わりや対応は,密接に関連しており,子ども一人ひとりの行動特性や発達課題の特徴を捉える多面的な理解が,子どもへの適切な対応や環境構成など保育実践に不可欠であることが示された。 2)保育実践のうちカリキュラム研修を通した子ども理解の変化について発話データをSCAT(大谷,2019)による分析を行った。その結果,子どもにどういう育ちをしてほしいかという「外部講師からの本質的な問い」が契機となり,遊びや活動において「目指す子どもの育ちの明確化」がされていた。また,日案作成において子どもの育ちや伝えたいことを意識するようになったことで,研修以前に感じていた「保育環境の広範性による理解の困難さ」や「領域<環境>に対する苦手意識」が,「次第に保育環境を見て取れる感」に変化していった。
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Research Products
(2 results)