2021 Fiscal Year Research-status Report
生活の視点からとらえる乳幼児の道徳性:倉橋惣三とノディングズの理論的検討
Project/Area Number |
19K14151
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水津 幸恵 三重大学, 教育学部, 講師 (30837331)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 乳幼児 / 道徳性 / 生活 / 倉橋惣三 / ノディングズ / ケアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、道徳発達段階理論とは異なるケア論の立場から「段階(stage)」ではなく「生活(life)」において道徳性をとらえるネル・ノディングズのケアリング論と、ケアリング論との共通性が見出される倉橋惣三の「生活」を主軸に置いた保育思想に着目し、日々の生活における他者とのかかわり合いの中で既にさまざまに立ち現われている乳幼児期の道徳性をとらえる、新たな視点を提起することを目的とする。以上の目的を達成するため、(1)倉橋惣三の保育思想とケアリング論の文献検討による思想研究と(2)子ども同士の対人葛藤のエピソード検討の2つの軸をもち、研究を進めている。 本年度は昨年度の考察をさらに深め、倉橋の保育思想とケアリング論から子どもの道徳性や対人葛藤を捉え直すことによって、保育実践にどのような示唆が得られるかを検討した。その結果、道徳原則に基づく善悪判断の発達を促すのではなく、ケアリング関係の構築という観点からかかわることの必要性が見出された。また、道徳性とともに議論される規範意識については、ルールを守れるようになること以上に、ルールを取り扱うセンスを培い続けることが重要であることが見出された。この成果は図書にまとめた。また、対人葛藤のエピソード検討については、保育学会において発表した。さらにこれまでの成果をまとめ、広く発信する報告冊子の作成に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果をまとめた報告冊子の作成の完成に至らなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を広く伝える報告冊子を作成し、本研究の総括と発信を行う。
|
Causes of Carryover |
参加予定の学会および研究会が感染症対策のため現地にて開催されず、旅費が不要になったため。次年度使用額は、報告冊子の作成及び必要書籍の購入等にあてる。
|