2022 Fiscal Year Annual Research Report
小学校理科における「真正な科学」を通した人間性の涵養に関する実践的研究
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19K14202
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川崎 弘作 岡山大学, 教育学域, 准教授 (80710805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的謙虚さ / 人間性 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小学校理科授業において,「真正な科学」に基づく学習が人間性の涵養に有効であるか否かを明らかにすることを目的とし,実践的に研究を展開した。 まず,理科授業において涵養される人間性を「知的謙虚さ」と捉え直し,知的謙虚さに関わる先行研究を基に理論的基盤の整理を行った。 次に,小学校理科における知的謙虚さ尺度を開発した。本尺度は,3因子構造(「一般化への慎重さ」「開放性」「知性と自我の独立」因子)からなる19項目で構成される。また,実践への利用可能性を高めるために短縮版(15項目)も作成した。 そして,「真正な科学」に基づく学習が知的謙虚さの育成に有効であるか否かを明らかにするために,科学において構築される知識としての「理論」と「法則」に着目し,とりわけ「法則」の構築過程に基づく学習指導を考案した。小学校6年生を対象に「てこのはたらき」において授業実践を行ったところ,本学習指導は「一般化への慎重さ」の育成に有効であることが明らかになった。 これらの結果や先行研究の知見から,「真正な科学」に基づく学習は知的謙虚さの育成に有効となる可能性が高いこと,知的謙虚さの育成に有効となる中心的な学習活動は,「真正な科学」に基づく学習において必然的に生じる「自分の考えや実験を通して,構築した主張を何度も見直し,より良い主張を創り出そうとする継続的な活動であることが示唆された。 また,これらの知見を踏まえ,これまで実践が行われていなかった生命領域,地球領域の学習についても構想し,試行的な実践も行った。
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Research Products
(3 results)