2021 Fiscal Year Annual Research Report
対話の相互作用モデルの構築と数学学習を深める授業デザイン原則の抽出の往還
Project/Area Number |
19K14204
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松島 充 香川大学, 教育学部, 准教授 (70804128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対話の相互作用モデル / 専有 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,目的1:学習集団の対話の相互作用モデルの構築,目的2:対話によって数学学習が深まる授業デザイン原則の抽出,目的3:理論と実践の往還による研究の深化,である。 目的1については,対話の相互作用モデルを修正し(Matsushima, 2021),次の専有の6つの特徴を導出した。特徴1 (動的構成性):他者の概念を借用しながら話すことで徐々に自己の概念を動的に形成する,特徴2 (相互構成性):自己の概念を形成する過程において学習共同体の概念も形成する,特徴3 (制約性とずれ):共同体の歴史と文化から制約を受けるため個別的な概念生成にずれが生じる,特徴4 (間主観性と反省的思考):専有は間主観性を用いて共同体の意図に気づくことから始まり,自己の反省的思考によって変容する,特徴5 (適切性):対話における発話者となることで専有の適切性が高まる,特徴6 (創造性):専有のずれが新たな考えを創発する。 目的2については,授業研究から抽出した「すべての子どもが対話に参加するための手立て」のうち1/4が学級文化に関する手立てであることから,数学学習と民主主義との関連が授業デザイン原則と関わると考え,民主主義を実現する算数・数学学習の具体的な手立ての3点を抽出した(松島,2021)。手立て1:探究と対話を重視したオープンエンドな学習活動の設定,手立て2:価値観を育成する学習活動の設定,手立て3:真正な問題解決のための選択肢の基盤となる多元的な価値観についての対話の設定,である。 目的3に関しては,理論研究と実践研究が相互に影響し合い,高まっていく過程を公表した(Matsushima,2021;松島,2021)。具体的には授業研究の協議会において,発話しない学習者も学んでいるという事実を対話の相互作用モデルの理論がどのように説明していくかという理論的な発展についてである。
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Research Products
(5 results)