2021 Fiscal Year Research-status Report
Organizational factors to facilitate collaboration with high school and community
Project/Area Number |
19K14243
|
Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
川口 有美子 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (40616900)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 高等学校 / 地域 / 協働 / 市町村 / 「探究的な学び」 / 教員 / 過疎地域 / 統廃合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等学校と地域との協働を促進する組織的要因をリーダーシップの観点より明らかにし、両者の協働促進モデルの開発を試みるものである。今日では、公立高校の多くを占める都道府県立高校と地域(主として当該高校が所在する「市町村」とする)との協働がコミュニティの活性化や地域創生の観点から強く要請されているが、本年度は前年度に実施したA県B町に所在するC高校での実践について、論文化を試みたことが最大の実績である(掲載媒体等は「研究成果」参照)。 当該成果により明らかにできたことは、同校が注力している地域と協働した「探究的な学び」は、国の指定事業を活用しながら、多様な外部人材やB町からの積極的な支援も受けて展開されていたことである。B町との協働性について指摘するならば、同町の「総合計画基本計画」において、地元中学生の同校への進学率目標をKPIとして示したり、同校と町・企業等で構成されるコンソーシアムを母体としてカリキュラム開発や魅力化プロジェクト等を推進するといった内容を盛り込んでいた。町づくり行政においても同校との協働を強力に推進していることも確認できたといえる。 また、「探究的な学び」には、教員の指導性も重要であることを明らかにできた。同校での事例調査からは、地域協働の実践に携わる中で、教員自身の学校観や生徒観、指導観や指導方法を再構築していた。地域協働の必要性が強く要請されている中にあって、地域協働は教育の充実・深化のための手段であるということに自覚的にならなければいけないことを指摘した。その背景には、学習指導要領や地方創生政策からの地域協働要請のみならず、高等学校(特に過疎地域所在校)は県教委の再編整備計画において、地域協働により成果が確認できれば統廃合を先送りできる状況に迫られている実態も確認できたからである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、初年度以降(令和元~2年度)に実施した事例調査のフォローアップ調査が叶わなかったこともあり、高等学校と地域との協働を促進する組織的要因の考察を深めることができなかった。学校現場と行政(設置者・高校所在自治体)、さらには「コンソーシアム」に見るように多様なアクターが参画しての協働モデルが想定できるため、関係者への対面での聞き取り調査等を実施できなかったことは研究の遅れを生じさせてしまった。 そのため本年度は最終年度であったが、1年延長措置を取った。感染症の収束も見込めない中、代替手段も考えながら研究を遂行させていくこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
残された1年間、初年度以降(令和元~2年度)に実施した事例調査のフォローアップ調査は確実に実施したいと考えている。先述のA県B町C高校と、初年度に実施した島根県における事例は継続調査対象とする。時間的経過もある中での変容も追跡しながら、学校現場と行政(設置者・高校所在自治体)、「コンソーシアム」構成主体など多様なアクターへアプローチを試みたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、県外への移動が制限され、訪問調査が当初計画のようには実施できず、旅費支出が抑制された。行動制限が緩和されつつあるため、積極的な訪問調査を進めることに充当したい。
|