2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on positive behavior support program for restricted, repetitive pattern of behavior, interests, or activitys in children with Autism Spectrum Disorders
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19K14288
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 甲介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10610248)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動および興味の限定された反復的な様式 / 自閉症スペクトラム障害 / 応用行動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(ASD)を定義する障害特性のひとつである「行動および興味の限定された反復的な様式(Restricted, Repetitive Behaviors and Intersets, RRBIs)」は、ASD児者の行動問題のリスク要因のひとつとされている。それにも関わらず、国内および国外において、RRBIsに関して特に介入研究は少ない現状である。行動問題のリスク要因の一方で、RRBIsの特性は、ASD児者の余暇の充実や社会的適応において、肯定的な影響をもたらしているケースも存在している。本研究はASD児者のRRBIsについて、主にその「行動型」と「機能」から検討・分類を行い、望ましい行動を増やすアプローチでRRBIsに関連する行動問題を軽減する方法や、望ましい行動を増やす手段としてRRBIsに関連する情報を活用する方法について明らかにすることを目的としている。 2022年度は、RRBIsに関する国内の応用行動分析学に基づいた介入研究の動向のレヴューおよび分析に基づき、海外の研究動向と比較することにより、国内のRRBIsに関する研究ニーズを明らかにするための検討を行った。その結果、海外と同様にいわゆる高次のRRBIs(儀式的な行動パターン・限局された興味・同一性保持/反復的な遊び/同じ話題を繰り返すことなど)に関する機能の分析や介入研究が少ないことが明らかになった。また、いわゆる低次のRRBIs(音声や行動や物の操作の常同行動)に関しても、海外の研究と比較して、それらの行動の機能分析や機能に基づく介入研究の方法方略の基礎的な検討があまりなされていないことが明らかになった。以上のことから、高次のRRBIsに関する介入研究や低次のRRBIsに関する機能的アセスメントと機能に基づく介入研究の基礎的なデータを蓄積していくことの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、先行研究で明らかとなった研究ニーズに対応した実践研究を行う予定であったが、コロナウィルス感染症数の増加は継続しており、行動制限はこれまでよりは緩和されていたが、リスク回避等のため実践研究の実施をスムーズに行うことができず、予定したデータを年度内に収集することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は先行研究の分析で明らかになった研究ニーズに応じた実践研究を中心に行う予定である。1つめは先行研究の分析で明らかになった高次のRRBIsに対する介入プロトコルの検討である。2つめは低次のRRBIsに関する機能的アセスメントと機能に基づく介入方略のうち、我が国ではあまり検討されていないRRBIsの機能に関する情報に基づいた動機づけ操作に関する実践研究を行い、介入効果に関する基礎的なデータを収集する。可能であれば、学校現場等の日常場面でそれらの基礎的なデータに基づいた介入を実施し、社会的妥当性等の評価を行い、日常的に用いる介入方法としての有効性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
先行研究等を踏まえた実践研究を行い、対象児の募集や学生アルバイトの募集を行う予定であったが、コロナウィルス感染症拡大の為、対面による事例研究の実施が予備的なものにとどまり、また実施も不定期なものになりデータ収集が困難であった。また、対面による学会に参加予定であったが、台風による天候不良のため旅費を使用する機会がなかった。 このため実践研究によるデータ収集を次年度に行うこととした。データ収集や学会や論文等での成果発表に係る経費、学会参加に係る経費に未使用額の経費を充てることとしたい。
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