2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on positive behavior support program for restricted, repetitive pattern of behavior, interests, or activitys in children with Autism Spectrum Disorders
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19K14288
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 甲介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10610248)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動および興味の限定された反復的な様式 / 自閉症スペクトラム障害 / 応用行動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)を定義する特性として「こだわりの強さ」における支援ニーズがある。その特性はASD児者の社会生活への不適応を引き起こす要因となる一方、就労や余暇活動の充実など適応を促す要因となる可能性もある。しかし、こだわりの強さがどのような条件において適応を促すものになるのかは明らかではない。本研究では、応用行動分析学の観点からASD児のこだわり行動を適切な行動レパートリー拡大に活かすための条件を明らかにし、こだわり行動に対するポジティブな行動支援(PBS)のモデルを示すことを目的とする。 最終年度は、知的障害を伴うASD児3名を対象に、アンケート調査により常同行動や自己刺激行動の実態を明らかにし、その実態から、頻度の多い常同行動や自己刺激行動と同様の感覚を産出すると考える玩具や活動がASD児にとって好まれ、課題への従事を促す強化子として機能するかどうか実験的に検討した。さらに、それらの玩具や活動を強化子として用いることにより、動機づけ操作のメカニズムにより、課題中の常同行動や自己刺激行動が減少するかについても実験的に検証した。その結果、3名中3名で常同行動や自己刺激と同様の感覚を産出すると考えられる玩具や活動は好まれる傾向がみられた。さらに、3名中2名においては課題従事を促す強化子として機能する傾向がみられた。また、3名中2名において課題中の常同行動や自己刺激行動が減少する傾向がみられた。 本実験研究や以前に行った事例研究の結果から、ASD児のこだわり(常同行動や自己刺激行動)に関する情報は、ポジティブな行動を促す強化子選定に役立つ可能性や、課題中の常同行動や自己刺激行動を強化という操作により減少させる可能性が示唆された。しかしながら、本研究で扱ったこだわり行動は常同行動や自己刺激行動に偏っており、同一性保持等のこだわり行動に対する検証が今後の課題である。
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