2019 Fiscal Year Research-status Report
eラーニング・コミュニティの活性化に向けた初期段階の発話を促す仕組みの実験的検討
Project/Area Number |
19K14316
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
澤山 郁夫 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (10806194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | eラーニング / 発話 / コミュニティ / スマートフォン / PCブラウザ / 学習行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
eラーニングは学習が継続されにくいことが古くからの課題となっている。この問題に対し,澤山・寺澤(2014)は,eラーニングにツイート機能等を付与し,eラーニングコミュニティが形成されることで学習が継続されやすくなることを示した。ただし追試の結果,ツイート機能や問題コメント機能を用いたユーザの発話量が少ない場合には,学習継続効果が低下することも示唆されていた。すなわち,eラーニングコミュニティが学習継続効果をもつためには,発話を通して,当該コミュニティがある程度活性化している必要があると考えられる。そこで本研究ではeラーニングコミュニティの活性化を目的とし,とくにコミュニティの形成初期段階の発話を促す仕組みに焦点を当て,その効果を検討することを目的とした。なお,本研究は4カ年計画とし,前半では主として実験システムの開発を進め,後半では開発したシステムを用いたランダム化比較試験を行うことを計画した。 初年度である2019年度は,第一に,実験を進める上で課題となる操作変数外のシステム要因によるドロップアウトを極力抑制するため,学習の処理等に使用しているアプリケーションサーバやデータベースサーバの遅延テスト,およびサーバスペックの見直しを行い,ユーザ待機時間の削減を図った。第二に,発話量に対して有効な介入方法について検討するため,関連する先行研究のレビューを進めた。その結果,一般に,スマートフォンを媒体とする場合にはPCブラウザを媒体する場合と比較して,文字入力が行われにくい可能性が明らかとなった。今後,スマートフォンでの文字入力の負担感を軽減する方策や,文字入力に依存しないコミュニティの活性化策を含めて,介入方法についての検討を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スムーズに動作する実験システムを整えておくことは,実験参加者の不要なドロップアウトを抑制し,操作変数の効果を検出するために極めて重要な要件である。初年度に基幹システムの実行環境を見直し,ユーザの待機時間を削減することができた意義は大きい。また,関連する先行研究のレビューでは,発話量が抑制される一因として媒体の影響を見出すことができた。今後,発話量を促進する仕組みを検討していく上での指針を得たといえる。これらの状況は,前半の2カ年でシステム開発を行うという目的に照らせば,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
スマートフォンを媒体とすることが文字入力が抑制される要因である可能性を考慮すると,「文字入力による発話を促す」という考え方そのものを見直すことも視野に入れて,介入方法を検討する必要がある。引き続き関連する先行研究のレビューを進めることで,次年度前期にはこれについての目処を立て,後期にはシステムに実装することを目指す。
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Causes of Carryover |
契約しているクラウドサーバの使用料が定額ではなく,データ通信量や為替の影響を受けて最終的な料金が事後的に確定するため,一定の余力を残してこれを支払う必要がある。このため次年度使用額が生じた。この残額は,翌年度分の助成金とあわせて,翌年度のクラウドサーバの使用料に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)