2021 Fiscal Year Research-status Report
eラーニング・コミュニティの活性化に向けた初期段階の発話を促す仕組みの実験的検討
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19K14316
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
澤山 郁夫 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (10806194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育工学 / 入力文字数 / 自由記述 / 発話量 / スマートフォン / PC / 使用媒体 / 端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,eラーニングにおけるコミュニケーション機能による学習行動の継続促進効果を高めるために,この調整変数として,eラーニングコミュニティの活性度,すなわち発話量に着目するものであった。これまでの研究から,スマートフォンを用いた場合には,PCを用いた場合よりも文字入力による発話が行われにくくなる可能性が示唆されていたが,それが画面サイズの制約による発話インターフェイスへの気づきにくさの問題であるのか,あるいはスマートフォンでの文字入力による発話に対する動機づけの低さの問題であるのか等といった要因の切り分けが困難である点が課題であった。 本年度は,使用媒体と文字入力による発話に対する動機づけの関係について検討を行うため,1文字以上の回答入力を必須とする自由記述設問を含むオンライン調査を2件実施した。結果,1件目の調査では,第一自由記述設問から第二自由記述設問にかけての入力文字数の変化量が回答者の使用媒体によって異なっており,PCを用いた回答者においては変化が検出されない一方で,スマートフォンを用いた回答者では減少したことが明らかとなった。2件目の調査では,使用媒体の主効果が検出され,スマートフォンを用いた回答者は,PCを用いた回答者よりも入力文字数が少なかった。また,回答に費やした時間についても,スマートフォンを用いた回答者は,PCを用いた回答者よりも短かった。本研究における使用媒体はランダム割当を経たものではないため,因果関係の解釈には慎重になる必要があるものの,これらの結果は,「これから文字入力を行う」という足場かけが与えられた上でも,スマートフォンを用いた場合は,PCを用いた場合よりも文字入力による発話が行われにくくなる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための活動制限等の要因が重なり,当初計画していた実験研究の実施は困難となったものの,代わりに調査研究を2件行うことで,当初想定していなかった発話量の規定因に関する示唆深いデータを得ることができ,この点については当初の計画以上に進展したと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,発話量の規定因に関する調査研究や,介入効果を調べる実験研究の実施可能性について検討し,eラーニングにおける参加者の自発的な発話を促すための方策について,一定の結論を出すことを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大防止のための活動制限等の要因が重なり,当初計画していた実験研究の実施が困難となり,計画を練り直す必要が生じたため。この残額は,翌年度分の助成金とあわせて,調査研究ないし実験研究の実施に充てる計画である。
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