2020 Fiscal Year Research-status Report
特発性全般てんかんの社会的認知機能-表情認知機能システムの解明
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19K14362
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 章浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10733503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / 社会的認知 / 表情認知 / 動画表情認知課題 / 特発性全般てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん患者において,発作が十分に抑制されているにもかかわらず,社会生活が困難な患者が存在する.その原因として,てんかん患者の社会的認知機能の低下が考えられ,内側側頭葉てんかんで社会的認知機能の一つである表情認知機能の低下を明らかにした(Tanaka etal.2013.)が,全般性てんかん(idiopathicgeneralized epilepsy, IGE)については未だ十分に明らかになっていない.IGEの発症年齢は25歳以下と若く早期に円滑な社会生活を送るためには発作抑制のみならず社会的認知機能を明らかにし取り組む必要がある.本研究の目的は,動画表情認知課題を用いて特発性全般てんかんの表情認知機能の解明を目指すことである.神経システムの解明は,先行研究にて明らかにした焦点性てんかんの表情認知機能の低下と, IGEとの比較,および脳波・MRI検査より得られたてんかん性放電と表情認知機能システムとの関連を検討し明らかにする.令和二年度については、昨年度のデータをまとめて一旦解析をおこなった(IGE29例、MTLE27例、正常コントロール18例)IGE、MTLEおよび正常コントロールに対して、表情認知課題の合計点数および各表情6パターンの点数に対して3群でそれぞれt検定を行った。MTLEと正常コントロールで合計点数および恐怖表情の点数において有意差を認めたが、群間で年齢の分布に偏りがある(MTLEで年齢が高い)ため、年齢を調整すると群間差は統計的に有意ではなくなった。また、IGEではMTLEおよび正常コントロールと正答率に有意差を認めなかった。IGEおよびMTLEに関して、年齢に加えて、罹病期間と発作抑制期間について群間で偏りがあり、共分散分析でそれらを調整したが、やはり有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各郡(IGE群,mMTLE群、正常コントロール群)の対象者を増やし、再度解析を行い表情認知機能の分析を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点ではIGE群に関しては表情認知の低下傾向を認めておらず、罹病期間の関連性が疑われる。今後、てんかん(てんかん性放電の部位),頭部MRI,発症年齢,薬剤(抗てんかん薬)との関係などによる活性部位の検討および,てんかんの寛解・難治例および表情別にみた表情認知機能について検討する.
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