2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14398
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
梅本 貴豊 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (50742798)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動機づけ / 動機づけの変動性 / 動機づけレベル / エンゲージメント / 自己調整 / 学業達成 / 階層モデル / 環境要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目的は、授業中の動機づけの変動性が自律的な学習および学業達成に与える影響について検討することであった。これらに関連して今年度は、2つの研究を実施した。1つ目は、特定の授業中に短期縦断的な質問紙による調査を行い、動機づけ高さである動機づけレベル,そして動機づけの変動性と学習内容を関連づけて理解するような深い処理方略、テスト成績との関連について検討した。その際に、動機づけレベルと変動性との交互作用を仮定した。階層的重回帰分析の結果、深い処理方略に対しては、レベルと変動性との交互作用効果が見られた。一方で、テスト成績に対しては、動機づけの変動性の主効果および交互作用は見られなかった。この結果から、動機づけの変動性は、学習行動に対してのみ一定の影響を与える可能性が示された。 次に、2つ目として、研究2年目の内容「授業中の動機づけの変動性が自律的学習および学業達成に与える影響の検討」についても、一部先取りした検討を行った。1つのセメスターにわたって質問紙による縦断的な調査を行い、授業中の動機づけの変動性と、その先行要因(大学の学習に対する動機づけの変動性,特定の授業科目の学習に対する動機づけの変動性)、授業中の多様な学習行動(浅い処理方略、深い処理方略の2種類の認知的方略と、行動的エンゲージメント、感情的エンゲージメントの2種類のエンゲージメント)、特定の授業科目の成績との関連を検討した。その結果、先行要因は授業中の動機づけの変動性に対して関連を示さなかった。また、授業中の動機づけの変動性は、浅い処理方略に対してのみ弱い関連を示した。さらに、授業中の動機づけの変動性は、科目の成績に対して関連を示さなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度(令和1年度)の目的である、「授業中の動機づけの変動性が自律的学習および学業達成に与える影響の検討」については、前期に調査計画を立て、そのまま調査を行うことができた。そして、調査結果を速やかに分析し、論文投稿にスムーズに結びつけることができた。そのため、後期を利用し、来年度(令和2年度)実施予定であった「授業中の動機づけの変動性を規定する先行要因の解明」についても一部の調査を行うことができた。ここでは,授業中の動機づけの変動性の先行要因として,特性レベル(大学の学習)の動機づけの変動性と文脈レベル(特定の授業科目の学習)の動機づけの変動性を取り上げた。なお、この後期の調査では、動機づけの変動性の先行要因についてだけではなく、動機づけの変動性と授業中の学習行動、科目成績との関連も検討している。この調査結果は、来年度の研究実施に大いに役立つものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、今のところ進捗の遅れはないため、当初の計画にそって研究を進めていく予定である。具体的には、令和2年度については、「授業中の動機づけの変動性を規定する先行要因の解明」について検討を行う。特に、クラスの雰囲気や教員の指導スタイルなどの環境要因およびメタ認知的方略のような自己調整プロセスが動機づけの変動性に与える影響について質問紙による縦断的な調査を行い、詳細に検討を行っていきたいと考えている。
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