2022 Fiscal Year Annual Research Report
学校における居場所づくりの実践と論理:通信制高校のフィールドワーク
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19K14399
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
神崎 真実 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (70816553)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 居場所 / 不登校 / フツウ / 自己効力感 / ライフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不登校経験者を積極的に受け入れる通信制高校をフィールドとして、学校における居場所づくりの実践と論理を明らかにすることであった。 2022年度は、社会文化的ライフコース論に基づいて不登校経験者の移行を検討し、不登校は「フツウ」とみなされる常識や社会的な声に抵抗する過程であること、フツウからの逸脱とフツウへの参入をどちらも経験することで常識へのレジスタンスが形づくられることがわかった(Kanzaki & Suzuki, 2022)。次の課題は、Bamberg & Georgakopoukou(2008)が指すところのSmall stories(他者に向かってその場で構成される断片的な語り)と、Big stories(時間的広がりをもった表象の世界)を統合しながら、高校生の人生を総合的に捉えることである(神崎,2023)。 居場所づくりに関しては、実践論文をレビューして居場所研究の特徴と課題を導出した(神崎・橋本,投稿中)。居場所に関する研究は、本人の居場所感を扱う質問紙調査か、居場所として運営される施設の観察研究を中心に展開されてきたが、どちらの研究でも、居場所がもつ課題や多面性を捨象してきたきらいがある。今後は、居場所がもつネガティブな側面や、さまざまな場を経由して形成される居場所等を明らかにしていくことが課題である。 研究期間全体を通して、学校生活への適応を中心にした不登校研究(Life in school)ではなく、高校生の人生を主軸にした不登校研究(Life through school)という視座を確保していくことができた。
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Research Products
(5 results)