2020 Fiscal Year Research-status Report
舞踊の発達的起源の検討：舞踊の階層性に関する発達認知科学的研究
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19K14477
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| Research Institution | Sagami Women's University |
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Principal Investigator |
山本 絵里子 相模女子大学, 人間社会学部, 講師 (50572202)
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2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 運動 / 階層性 / 発達 / 舞踊 / ダンス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程の解明に向けて、2つの研究成果を得た。
研究1：本研究では、生後1年以内の乳児期に原初的な舞踊行動が出現すること、そして、生後9ヶ月から12ヶ月にかけて乳児の舞踊行動の階層構造が複雑化することを明らかにした。この研究では、生後1年以内の乳児の舞踊行動の動作解析を実施するために、乳児の自発的な身体運動を記録した動画データを収集した。動作解析の結果は、生後9ヶ月から12ヶ月にかけて、身体運動における動きのリズムパターンが複雑化する可能性を示した。
研究2：本研究では、発達初期にみられる舞踊行動の産出能力、及び、他者の身体運動の理解能力との間の関連性を明らかにした。本研究では縦断的研究法を用いた。乳児が生後9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、及び18ヶ月の時点で、養育者を対象に「乳児のおどりの発達」に関する質問紙調査を実施した。加えて、乳児が生後18ヶ月の時点で、その乳児を対象として、他者の身体運動の理解能力を測定する課題を実施した。この課題において、乳児は実験者がコップの中に積木を入れるという目的指向型の身体運動を観察した。そして、乳児が他者の身体運動を観察したときの予測的な視線行動を計測した。養育者の回答、及び、乳児の視線行動を分析した結果、生後12ヶ月までに舞踊行動を産出した乳児の方が、そうではない乳児よりも、他者の身体運動の目的を予測する能力が高い可能性が示唆された。
本研究の成果は舞踊行動の発達モデルの枠組みを提供する点で重要であると考えている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた研究計画に関する研究環境を整え、研究を実施した。そして、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程に関する2つの主要な成果を得た。具体的には下記の通りである。
研究計画1では、乳幼児期の自発的な身体運動の構造を縦断的及び横断的に分析し、乳幼児期の身体運動の階層構造の発達的変化の解明を目指している。本年度は、乳児の自発的な身体運動を記録した動画データを分析し、生後1年以内の乳児期に原初的な舞踊行動が出現すること、そして生後9ヶ月から12ヶ月にかけてその舞踊行動が複雑化する可能性を示した。しかしながら、生後1年以降の身体運動のデータの収集が当初の予定より少なかった。
研究計画2では、乳幼児における身体運動の階層構造の複雑性に関連した脳活動を分析し、乳幼児期の身体運動の階層構造を創作する能力に関わる脳活動を明らかにする。本年度は、乳児における身体運動のリズムの認知に関わるNIRS研究を実施するための研究環境を整えた。
研究計画3では、発達初期の身体運動の経験がその後の身体運動の階層構造を創作する能力に与える影響を明らかにすることを目指している。本年度は、発達初期の身体運動の経験がその後の他者の身体運動の理解能力に関連していることを明らかにした。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度では、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程の解明に向けて、生後1年以降の自発的な身体運動のデータを収集し、それらの身体運動のデータについて動作解析を実施する予定である。加えて、これまでの神経科学的知見と技術をもとに、乳児における身体運動のリズムの認知に関わるNIRS研究に取り組んでいきたいと考えている。
新型コロナウィルス感染症（COVID-19）のため、2020年2月頃より、当初予定していた実験室における研究の実施が困難となっていた。そこで、本年度は、メール・Webを利用して、乳幼児期の身体運動のデータを収集した。次年度以降は、実験室における研究とメール・Webを利用した研究を並行して実施する予定である。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、本年度において、当初予定していた実験室における研究を実施することができなかった点が挙げられる。そのため、人件費・謝金（実験参加、及び、解析補助）が次年度使用額となった。また、当初参加を予定していた学会に新型コロナウィルスの影響で参加できなかった、もしくは、中止となったため出張費にも変更が生じた。
次年度では、身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程を検討するため、実験室における研究とメール・Webを利用した研究を実施する予定である。そして、乳幼児期から児童期の子どもたちの身体運動のデータを収集する。そのため、追加調査で必要な120名分の謝金・その他（郵送費）30万円を計上する。また、乳児における身体運動のリズムの認知に関わるNIRS研究を実施する。その際に必要な60名分の謝金・その他（郵送費）15万円を計上する。加えて、NIRS計測中の乳児の身体運動を記録するための計測機器及び、記録媒体を購入する予定であり、合計80万円の物品費を計上する。
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