2020 Fiscal Year Research-status Report
Calculations of representation categories of quantum groups by linear skein theory and its applications to quantum topology
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19K14528
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯淺 亘 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD) (80824961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子トポロジー / スケイン代数 / 色付きジョーンズ多項式 / クラスター代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に実施した主な研究の具体的内容は次の通りである。 (1)前年度から取り組んでいた1行のヤング図形で色付けされた sl_3 の結び目の量子不変量に関する公式を用いて sl_3 の結び目の量子不変量の極限として得られる tail と呼ばれるq-級数の研究を行った。特に、ある絡み目のクラスにおいて1行の sl_3 量子不変量の tail が存在することを示した。この結果を論文としてまとめ、プレプリントとして arXiv に投稿した。この研究は、結び目の sl_3 に関する tail の研究の第一段階の目標であった。 (2)石橋典氏との共同研究で曲面の量子クラスター代数と曲面の sl_3 スケイン代数の研究を行った。この研究では、sl_2 の場合に Muller により示されていた量子クラスター代数とカウフマンブラケットスケイン代数に関する定理の類似を sl_3 の場合に行った。さらに、量子クラスター代数の quantum Laurent positivity を証明した。この研究は高次の場合の量子クラスター代数とスケイン代数を研究する上で第一歩となる研究だと考えている。この共同研究を論文としてまとめ、プレプリントとして arXiv に投稿した。 (3) sl_3 スケイン代数にフィルトレーションを定義し、その次数商から得られる代数が量子アファイン空間と同型であることを示した。この研究は曲面の高次ラミネーションの空間に関連する研究だと考えている。 これらの研究はスケイン代数と量子クラスター代数の対応を通して、低次元トポロジーと表現論や組み合わせ論が密接に結びついて、相互に発展する有意義な研究だと考えている。 上記の研究に関して、オンライン開催の国際研究集会などでも招待講演を行った。国内の研究集会やセミナーでも招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結び目の量子不変量である色付きジョーンズ多項式の極限として得られる tail の研究に関して、sl_3 に対応する1行色付きジョーンズ多項式の tail の存在をある絡み目のクラスに対して証明した。この結果は sl_2 の場合に同様のクラスで証明された結果に対応しており、まず第一目標として考えていた結果である。この結果は、一般の sl_n に関する絡み目の1行色付きジョーンズ多項式の tail の存在定理が証明できる可能性を示唆している。 当初の研究計画として予定していなかった研究として、石橋典氏との共同研究で sl_3 における曲面のスケイン代数と量子クラスター代数の研究を行った。そして、この研究から曲面のスケイン代数、量子クラスター代数双方の理解が進んだと考えている。研究計画にある写像類群の量子表現の研究は写像類群のスケイン代数への作用を考える。よって、写像類群の量子表現の研究を進める上でもこの研究は重要な手掛かりになると考えている。この共同研究は非常に順調に進んでおり、関連して多くの新しい研究課題も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
石橋典氏との共同研究に関連した曲面のスケイン代数と量子クラスター代数に関する研究が、非常に順調に進展しており、数多くの研究課題が得られている。そのため、まずこれらの研究に関して石橋氏との共同研究を軸として進めていく予定である。これは、当初計画していた研究計画には無いものであるが、研究計画の一つである写像類群の量子表現や3次元多様体の量子不変量の研究に繋がると考えている。また色付きジョーンズ多項式の tail の研究は、sl_3 とは別の rank 2 のリー代数である sp_4 の場合と、より高次の sl_n に関する研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で国内出張や海外出張を控えている上、研究集会がオンライン開催となり旅費を使用しなかったため。今後、安全に出張ができる状況になった場合は出張に使用する。また現在の状況が続く場合は、物品費の他に専門知識の提供などを目的に謝金として利用する予定である。
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Research Products
(9 results)