2023 Fiscal Year Annual Research Report
開放量子系の非エルミート縮退点を活用した新奇なトポロジカル量子ポンプの理論構築
Project/Area Number |
19K14611
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
橋本 一成 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10754591)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非エルミート / 開放量子系 / リウビリアン / 例外点 / 電流ノイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は2重量子ドットが2つの電極と結合したメゾスコピック系のリウビリアンが有する3重例外点の物理的効果に集中して研究を行なった. 主要な成果として、量子ドット系を介して電極間を流れる定常電流のノイズスペクトルが、例外点において非ローレンツ関数型の線形を示すことを発見した.これは、例外点におけるリウビリアンのジョルダンブロック構造に起因する非平衡緩和ダイナミクスの冪的な振る舞いに起因するものであり、時間発展における冪的な時間依存性をラプラス変換して周波数領域で見ることで、ノイズスペクトルの線形がローレンツ関数から狭小化として観測できることを明らかにした.この非ローレンツ型スペクトルの線形は例外点の次数と一対一対応しており、定常電流ノイズのスペクトルを観測することで、リウビリアン例外点の存在のみならず、その次数まで推定できることを示している. また、当該モデルのリウビリアン例外点を取り囲む経路に対して、ドット間の結合強度及びドット電極間の結合強度を有限時間で時間周期変調した場合の非断熱量子ポンピングについても詳細な検討を行なった.例外点近傍ではリウビリアンのスペクトルは準位反発を示しており、これを通過する経路に対する有限時間パラメータ変調に対して、過渡的な電流がLandau-Zener遷移に起因する電流振動を示すことを明らかにした.一方、経路1周に対する電流の積算値ではこの電流振動が平均化され、例外点近傍の準位反発や分岐截線に起因する有意な特異性は見出せなかった. 研究期間全体を通じて、当初の目標であった量子ポンピングの積算値に対する例外点の影響については有意な効果を見出すことができなかった.一方、副産物として得られた例外点における電流ノイズスペクトルの非ローレンツ型線形に関する発見は、メゾスコピック系におけるリウビリアン例外点の実験的検出に有用であると考えている.
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Remarks |
本助成金の支援で実施された研究成果に関する投稿中論文が一件あり.
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Research Products
(4 results)