2020 Fiscal Year Research-status Report
Stochastic processes of multiple-particle systems with internal degrees of freedom: dynamics and statistical properties
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19K14617
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
アンドラウス ロバジョ 中央大学, 理工学部, 助教 (10771644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多粒子確率過程 / 長距離相互作用 / 氷結極限 / ジャンプ過程 / フラクタル次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では本研究の中段階入り、粒子の軌跡に着目してA型、B型ダンクル過程及びヤコビ過程における絶対零度でのゆらぎの分散行列の具体形をHermann氏とVoit氏(ドイツ)との共同研究で求めた。2019年度において逆分散行列のスペクトルを求めたが、分散行列を求めるのに固有ベクトルの導出が必要であった。古典直行多項式のde Boor-Saffデュアルな多項式を用いることで固有ベクトルを求め、分散行列自体の具体形を導出することに成功し、これらの系の右端と左端の粒子座標分散の漸近的な振る舞いを求めた。この結果を論文2つでまとめ、その内容をBernoulli-IMS One World Symposium 2020および2020年確率論シンピジウム(オンライン)にて報告した。 ダンクル過程の研究の拡張として、長距離相互作用を持つ1次元コロイド系に着目し、粒子が交差すると内部自由度交換相互作用が働くシステムの緩和ダイナミクスをVarela氏、Tellez氏(コロンビア)とTrizac氏(フランス)と共同して研究した。コロイドが2個でイオンがN個のシステムで、Nが偶数の時に緩和時間がダブルレヤー形成過程で与えられ、奇数のときに中間のイオンの拡散ダイナミクスにより、緩和時間がコロイド間距離の二乗に比例することを明らかにした。この研究も論文にまとめ、日本物理学会第76回年次大会(2021年)で報告した。 最後に、ダンクル過程における内部自由度交換相互作用の相転移を支配する粒子衝突の研究を進めた。Hufnagel氏(ドイツ)と共同し、逆温度パラメーター(ベータ)が1以下のときの粒子衝突頻度を研究している。この場合はほぼ確実に粒子衝突が発生することが知られているが、衝突時刻の振る舞いはまだ解明されていない。衝突時刻はフラクタル構造を持っていることを証明し、成果を論文にまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度において新型コロナウィルス感染拡大で予定されていた国際会議への参加や共同研究者への訪問が不可能になり、またオンライン授業への切り替えに必要な授業(特に実験の講義)の再構成で遅れが発生した。 更に、2019年度に完成されていたダンクル過程の数値シミュレーション手法の妥当性を確認して、数値的な不安定性の存在が明らかになった。その理由で、別の数値手法を取り入れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は粒子衝突問題を最優先にしており、ダンクル過程における粒子衝突時刻のフラクタル次元を求めており、ジャンプ過程自体に着目できる。そのために数値手法は不可欠になるので、高次オーダーの確率微分方程式を数値積分する方法を開発する必要がある。そこで、Averina-Artemiev方とよばれる二次オーダー数値積分法の多次元バージョンを改善することでβ<1におけるジャンプ過程を調べる。この数値手法はおおよそ60%完成させており、1~2ヶ月以内に成果が期待できる。 その次に、ジャンプ過程の適切な数学的な記述を探索する。ジャンプの確率は粒子間距離に反比例し、衝突がほぼ確実に発生することより、その記述はコンタクトプロセスと同様であることが期待できる。
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Causes of Carryover |
2020年度において共同研究者への訪問が予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大で訪問が保留された。2021年度にHufnagel氏(ドイツ)への訪問及びLuminy(フランス)における国際会議"Modern Analysis Related to Root Systems with Applications"への参加を予定している。
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