2021 Fiscal Year Research-status Report
Stochastic processes of multiple-particle systems with internal degrees of freedom: dynamics and statistical properties
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19K14617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
アンドラウス ロバジョ 東京大学, 理学系研究科物理学専攻, 特任研究員 (10771644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多粒子確率過程 / 長距離相互作用 / 氷結極限 / ジャンプ過程 / フラクタル次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度における研究実績は下記の3つである。 まず、一次元のコロイド系におけるダブルレイヤー形成ダイナミクスに関する論文が掲載された(L. Varela, S. Andraus, E. Trizac, G. Tellez, J Phys Condens Matter 33 (2021) 394001)。この論文において、固定されたコロイド2個とブラウン運動を行うイオンN個の時間発展を数値的に研究し、その緩和時間を評価した。Nが偶数の場合、各コロイドはN/2個のイオンでスクリーンされ、2つの独立なダブルレイヤーが形成されるので、その場合の緩和時間はコロイド間の距離に依存しないことが分かった。一方、Nが奇数の場合には必ず一つの自由イオンが残り、残りのN-1個のイオンはコロイドのダブルレイヤーを形成する。その時、系の緩和時間は自由イオンが運動する、ダブルレイヤー間の距離の二乗に比例することを発見した。 次に、氷結極限におけるランダム行列固有値のゆらぎ分布とデュアル多項式に関する論文が掲載された(S. Andraus, K. Hermann, M. Voit, J Math Phys 62 (2021) 083303)。この論文では、ランダム行列アンサンブルの低温極限における固有値分布のガウス型ゆらぎを研究し、そのゆらぎを特徴づける共分散行列の新しい具体形を発見した。その導出のためにde Boor-Saffデュアリティという概念を利用し、以前に知られていなかったヤコビアンサンブルの場合の共分散行列も発見した。 最後に、Log-gasにおける粒子の衝突時刻のフラクタル次元に関する研究をプレプリントにまとめた(arXiv:2109.08707)。以前のダンクルジャンプ過程の研究では粒子衝突が発生するときにジャンプの記述が知られていないことを踏まえて、衝突自体の性質を研究した。その結果、衝突時刻にフラクタル構造があることを示し、フラクタル次元は秩序パラメーターに似た振る舞いを示すことを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスの感染拡大状況により令和3年度を想定していた海外の共同研究者との打ち合わせおよび国際会議が中止され予定より進捗が遅れている主な理由である。 さらに、現在の立場において本研究に当たるエフォート(30%)の時間を確保できず、本来のペースで研究を進めることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度、本研究を遂行するために必要なエフォートの時間を確保できる環境に転職する予定であり、今後の研究進捗はスムーズなる条件が保証される。 令和4年度の研究成果を踏まえて、粒子衝突の起こりえるLog-gasのシミュレーション技術の開発を進め、衝突時刻のフラクタル次元を用いてシミュレーションの検証を行う。正確なシミュレーションが出来次第、ジャンプ過程のシミュレーションを行うことで、数学的な記述の構築を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大によって令和3年度に参加を予定していた国際会議の中止やオンライン開催は次年度使用額が生じた主な理由である。 令和4年度において、国際会議への参加を予定しているが、以前と同様に中止、オンライン開催になった場合は論文のオープンアクセス掲載費や計算機のアップグレード用部品に使用する予定である。
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