2023 Fiscal Year Research-status Report
Stochastic processes of multiple-particle systems with internal degrees of freedom: dynamics and statistical properties
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19K14617
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Research Institution | Tsukuba Gakuin University |
Principal Investigator |
アンドラウス ロバジョ 筑波学院大学, 経営情報学部, 助教 (10771644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多粒子の確率過程のジャンプ頻度 / 強い斥力の多粒子系における衝突 / 粒子衝突時刻のフラクタル次元 / 双対直行多項式 / 氷結極限での多粒子系の確率分布 / 粒子衝突・非衝突クロスオーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績はarXiv:2109.08707で研究した粒子衝突時刻のフラクタル次元の導出の他の多粒子系への拡張である。 多粒子系の内部自由度として解釈できるダンクル・ジャンプ過程は粒子の経路に依存すること、またジャンプ過程の動的な振る舞いは粒子間斥力のカプリング定数βが1未満のときに根本的に変わることがJ. Phys. A 53 055204 (2020)に解明された。ジャンプ頻度は粒子間距離の二乗に反比例することがわかり、βが1未満のときは粒子衝突を防ぐことができなくなる。すなわち、粒子衝突が発生するとジャンプ頻度が発散することになる。粒子経路がダイソン模型で与えられたときは衝突時刻はフラクタル構造を持っていることがわかった。この場合の粒子衝突はarXiv:2109.08707で研究された。 2023年度には粒子経路はダイソン模型以外の過程で与えられる場合を研究し、特にWishart-Laguerre過程によって粒子経路が与えられる場合の粒子衝突を研究した。以前に用いたGraczyk-Sawyerの推移確率分布の漸化式はダイソン模型のときのみ使えるものであり、別の方法で衝突のフラクタル次元を導くこととなった。そこで、各過程の対称性で決まる交代式の二乗を考え、この交代式を用いて他粒子の経路をベッセル過程に対応させられることがわかった。交代式がゼロになるときは粒子衝突に相当するので、ベッセル過程がゼロになる時刻で衝突時刻の性質がわかる。ベッセル過程がゼロになる時刻のフラクタル次元が知られており、この関係を用いて以前の結果を拡張できた。この結果はarXiv:2312.05420にまとめた。 2022年度より開発されていたArtemiev-Averinaによる確率微分方程式の積分手法の拡張の開発が完成され、その詳細と他粒子過程での衝突への応用をまとめた論文が執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Artemiev-Averinaによる確率微分方程式の積分手法の拡張の開発が完成されたが、そのパフォーマンスの評価、またパフォーマンスの最適化に予想以上に時間がかかり遅れが出た。 しかし、この数値的手法は現在完成されており、これより実用化の段階に入る。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】で述べた通り、これよりArtemiev-Averinaの数値手法が完成されているため、これを用いてダンクル・ジャンプ過程を可視化し、粒子衝突が発生するパラメータ領域における内部自由度のダイナミクスを数値実験で研究する。同時に、無限粒子極限や氷結極限における内部自由度のダイナミクス記述を研究する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大の影響により、当初予定されていた国際会議への参加が延期された。そのため、2023年度の予算を使い切ることができなかった。 残り金額の使用に関して、2024年4月に行われる国際会議「Probability and Analysis 2024」(ポーランド)に招待され、会議の参加のための旅費に使う予定である。
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