2021 Fiscal Year Research-status Report
核融合炉壁材料中の水素同位体深さ分布のプラズマ照射エネルギー依存性
Project/Area Number |
19K14692
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
矢嶋 美幸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70749085)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | タングステン / ヘリウム / 重水素 / イオンビーム / タンデム加速器 / 核融合 / プラズマ・壁相互作用 / 水素吸蔵 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉候補材料であるタングステンにヘリウムが照射されると、タングステン表面近傍にヘリウムの集合体(以下、ヘリウムバブルと表記する)が形成されることがわかっている。ヘリウムバブルが形成により水素同位体の拡散を阻害、あるいは、ヘリウムバブルの連結により水素同位体の脱離を促進することが示されてきた。しかし試料中の水素同位体分布については、まだ十分に明らかになってはいない。特に核融合デモ炉の設計・運用に寄与する、入射イオンエネルギー依存性に関する基礎データは未だ得られていない。そこで本研究では核融合科学研究所が所有するイオンビーム解析装置を用いて、ヘリウムバブルが形成した試料中の水素同位体保持量の深さ分布について明らかにすることを目指す。 該当年度はイオンビーム解析装置のイオン源において引き出し電流の低下が確認されたため、イオン源のメンテナンスを実施した。メンテナンス後、イオンビームの引き出し電流値が大幅に改善された。さらに核反応法(NRA)分析のための環境整備を進めた。本実験で実施予定のNRA分析では3Heと重水素(D)との核反応生成物であるプロトンを検出する。そのため、本年度はプロトン検出器の設計を進めた。また、検出器からパソコンまでの出力方法についても検討した。来年度は設計したホルダーの発注、計測環境の整備を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はイオンビーム解析装置の引き出し電流の低下により、十分な電流値が得られなかった。そのため、本年度の進捗は予定よりも遅れてしまった。イオン源を分解しギャップレンズの研磨・洗浄を実施したところ、生じていた電流値の低下が大幅に改善された。来年度は改善されたイオンビーム解析装置を用いて水素同位体の深さ分布を明らかにしていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は核反応解析法(NRA)による重水素計測環境整備を実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
緊急事態宣言等により出張日程が大幅に変更になったため。来年度以降は、ヘリウムバブル形成タングステン試料を作成するための出張費および国際会議等への参加費・出張費として使用する予定である。
|