2020 Fiscal Year Research-status Report
理論と観測で相補的に迫る原始惑星系円盤構造形成から惑星形成に至る新たな描像
Project/Area Number |
19K14764
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
高橋 実道 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (80838566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 重力不安定性 / 永年重力不安定性 / 微惑星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原始惑星系円盤の形成・進化とその中での惑星形成について、特に円盤の詳細な構造に注目しながら、理論と観測の両面で研究を行うことを計画している。 2020年度は主に、原始惑星系円盤に観測されているようなリング構造中での微惑星形成について、理論的研究を行なった。観測されたリング構造はダストが濃集して形成している可能性が考えられ、このダストが十分大質量であった場合、ダストリングの自己重力的な収縮によって、微惑星が形成されることが期待される。そこで、本研究では、リング構造を持ったダストの重力不安定性や永年重力不安定性によって、微惑星が形成される過程について研究を行なった。この研究では、安定性解析を行うことで、それぞれの不安定性によって微惑星が形成できる条件の導出や、形成される微惑星質量の見積もりなどを行なった。 また、共同研究として、ダストが円盤中を中心星に向かって落下している過程での、永年重力不安定性の非線形成長についての研究を行なった。この研究では、円盤のダストとガスの2成分について、1次元の流体シミュレーションを行なった。その結果、落下中のダストでも永年重力不安定性が成長可能な領域に十分長くとどまれる場合、不安定が成長可能であることが明らかになった。 また、原始惑星系円盤に観測された渦状腕構造の起源を調べるため、渦状腕がガス塊の落下だとした場合のガスの三次元的な軌道を観測結果から推定する研究も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載したように、2020年度は主に円盤構造と惑星形成をつなぐ過程についての理論的研究を進めることができ、研究会発表などの形で成果を出すことができている。したがって、当初の研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、2020年度の研究成果の論文化を進める。その後の研究としては、原始惑星系円盤の形成・進化と惑星形成の関係の理解を進めるため、円盤形成過程の理論的研究を進める予定である。ここでは、流体シミュレーションとその結果を物理的に解釈するための理論モデル構築を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
研究会等が全てオンライン開催となり、旅費として使用を予定していた分が次年度へと繰り越されることとなった。 翌年度では、主に数値計算のための計算機に使用する予定である。また、出張が可能となった場合、積極的に旅費として使用し、研究成果の発表や共同研究の推進のために使用していきたい。
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