2021 Fiscal Year Research-status Report
理論と観測で相補的に迫る原始惑星系円盤構造形成から惑星形成に至る新たな描像
Project/Area Number |
19K14764
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
高橋 実道 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (80838566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 重力不安定性 / 微惑星形成 / 惑星形成 / 星形成 / 磁気制動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原始惑星系円盤の形成・進化とその中での惑星形成について理論と観測の両面で研究を行うことを計画している。 2021年度の研究では、原始惑星系円盤のダストリング構造の自己重力的な不安定性による微惑星形成について研究を進めた。本年度は特に、リング構造の不安定条件を解析的に明らかにした。この条件を観測されたリング構造に適用し、現在のリング構造が重力的に安定であり、今後より細いリングへと進化できた場合に重力崩壊し得ることを示した。また、リング構造の重力崩壊によって形成される微惑星質はリング構造の質量や幅などの物理量に依存しており、それらの広い範囲で最終的に形成される微惑星質量を正確に予言できる表式を導出した。さらに、最終的に形成される微惑星あるいは微惑星連星が順行方向の回転を持つことが期待されることを示し、観測との比較について議論している。これらの成果をまとめて論文として投稿している。 また、円盤形成期には、分子雲コアの重力崩壊によって円盤にガスが供給されるが、この過程を記述する解析的モデルの構築も進めた。本年度は、重力崩壊し円盤へと降着するガスに対する、磁場による角運動量輸送の効果を表す解析的モデルの高精度化を行った。ここでは、ガスの中心落下速度の評価を見直し、磁場によるガス分布の非球対称化の効果と合わせてモデルに取り入れることで、磁場によって輸送される角運動量をより高精度に再現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載したように、2021年度は主に星形成過程、及び円盤構造形成から惑星形成へと過程についての理論的研究を進めることができ、研究会発表などの形で成果を出すことができている。したがって、当初の研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、円盤形成進化過程と惑星形成の関係を理解する上で重要となる、円盤形成期の重力不安定性による分裂条件について研究を進める予定である。これまで孤立系の円盤において研究されている円盤の分裂条件が、形成過程の円盤分裂とどのように関係するのかを物理的に明らかにすることを目指す。これによって、星形成過程で期待される円盤分裂が、惑星形成に与える影響についての理解を進める。
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Causes of Carryover |
依然としてオンラインで開催される研究会が多く、旅費として使用を予定していた分が次年度へと繰り越されることとなった。 翌年度では、数値計算のための計算機や、出張が可能となった場合の旅費として使用し、研究成果の発表や共同研究の推進のために使用していきたい。
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